Jade color eyes

超化トランクス×パンの、夜のお話です。

天ブラの『only you』と併せてお読みいただけましたら うれしいです!

天使を誘惑』からのトラパン不安定期話の、まとめ的なところもあります。]

夜。  ベッドの中で おれは、パンの黒い髪に指を通している。

それは一日の終わりにおこなう、もはや日課のようなものだった。

結婚してからというもの、そうしなかったのは 出張に出ていた時、

あとは娘が生まれたばかりの頃くらいだ。

 

おれたちの娘、キャミ。  

これが、かわいらしい顔に似合わず ものすごく食べて、よく眠るんだ。

さすがはサイヤ人の血を引いている、というべきか 夜泣きも病気も ほとんどしたことがない。

だから、だいぶ以前から、子供部屋で一人で寝かせている。

もちろん、ちょっとでも異変があれば すぐに気付くことができるよう、

ベッドの脇にスピーカーを設置してある。

実をいうと これは、娘が生まれた時に 悟天とブラがプレゼントしてくれた物の一つなのだ。

 

腕の中に納まっているパンが、こんな話を始めた。

悟天とブラには、男ばかりの5人の子供がいる。 

その4番目の子・・・ まだ3つか4つなのだが、重力室での特訓の際、

あっさりと、あまりにもあっけなく、超化できてしまったというのだ。

 

「お義父さん、びっくりしてたわ。 他の子たちは小さな弟に先を越されて、悔しそうだった。」

「・・・ブラは? あんまり驚いてなかっただろ。」 

「どうして わかるの?」

パンの黒い瞳を見つめながら、おれは問いかける。 「パンは、聞いたことない?」 

「? 何を?」

「超化してる時に できた子は、ごく自然に、当たり前みたいに超サイヤ人になれるって話をさ。」

それは、悟天がそうだったことから、周りの大人たちの誰かが立てた仮説だった。

 

小さなライトだけを灯した薄暗がりの中、パンは大きな瞳をさらに見開く。 

「ほんとなのかしら、その話。 トランクスも、そうなの?」

「うーん、 おれの方は はっきりしないんだよ。 

でも おれも、とにかく 覚えてないくらいチビだった頃、簡単に超化できちまったんだ。」

 

あることを思い出したおれは、ついニヤニヤしてしまった。 

不審そうにしているパンに、それとは ちょっとだけ、違う話をしてやる。

「初めて父さんの前で超化した時、 あれはホント傑作だったな。

父さんにあんな顔をさせたのは何人もいないよ。 悟空さんに、うんと強かった何人かの敵・・。」

それ以外では、母さんだけじゃないかな。

そう付け加えた、その時。 

強い力で体勢を入れ替えられ、パンが覆いかぶさってきた。

 

口内に入り込んでくる、濡れた舌。 

押し付けられる唇、 そして やわらかで、同時に弾むような手応えの、二つの膨らみ。

しばしののち、解放されてすぐに おれは言った。 

「おれたちも、試してみようか。」 

「? 何を・・? あ ・・・!」

気を高め、おれは久しぶりに 超サイヤ人になった。

 

 

逆立った黄金色の髪、それに翡翠色の瞳。 

こんなに近くで目にしたのは初めてだ。 

まさか、戦闘でもない こんな場で、見ることになるとは思わなかった。

 

「怖い? おれのこと。」  

超サイヤ人。別に、人格が変わってしまうわけではない。

けれども凶暴性が増し、軽い興奮状態になるという。

「・・・。 こわくなんか、ないわ。」 

「さすがはパンちゃんだな。」  

着ている物を引き剥がされ、ベッドの上に組み敷かれる・・・  

そうなる寸前に、わたしは どうにか、彼の方を仰向けにすることに成功した。

 

下着を取り去る。 既に、いきり立っている熱いものを、口に含む。

・・・大きい、 思う。 

そういえば、体格自体も なんだか、いつもより・・。

喉につかえて、咳きこんでしまう。 

トランクスは はっとしたように、わたしの肩に手をかけた。

それで、安堵した。 超サイヤ人になっていても やっぱり、トランクスであることに変わりはないのだ。

「平気よ。」 

手のひらで、根元を できるだけ優しくさすりながら、舌で、唇で、無理に頬張らない形で愛撫を続けた。

 

ああ、もう少しだ。  きっと、多分、あと もう少しで・・・。

そう思った、その時。  「いてっ・・

えっ!? 驚いて、あわてて口を離す。

次の瞬間、彼の手によって、今度は わたしの方が仰向けの形で押さえこまれることになった。 

 

しまった。 騙された・・・。

「ふふ、 うまくいったな。」 

トランクスの指先が、脚の間、 わたしの体の奥深く、 最も敏感な部分をとらえる。

「お返しに、おれも 口でしてあげたかったんだけどさ、パンは こっちの方がずっと好きだもんな。」 

「・・・。」  答えを返さなかった わたしに、彼は再び尋ねてきた。 

「怖い? おれのこと。」

「怖くなんか、ないわ。」 言葉を切って、続ける。 

「トランクスって、いつも そんな感じだもの。」

 

「そうか。」  口の端に笑みを浮かべて、彼は わたしの手をとった。

そして自分の・・・ 下半身に持っていき、触れさせる。 

「握って。 動かさなくていいから、握ってて。」

言い終わらぬうちに、指の動きが速さを増していく。 

「きゃ・・! あ、 ・・・っ

もう一方の手は、胸を掬いあげるように 揉みしだいている。

「ん、 ・・・

「くっ ・・ 」 

その お返しに、まるで シーツを掴むように、わたしは 彼の・・・

 

「なんだか、競争みたいだね、どっちが先にいくかの。 けど、パンの方が有利なんだよ。 

だって ついさっきまで、この可愛い口で さんざん いたぶられてたんだから。」 

唇が、重ねられる。 一時は、喘ぐことすら許されなくなる。 

ようやっと、少しばかり自由になった。 けれど、呼吸を整える間もなく、口元に向かって 彼はささやく。

「おれが、どうして ベッドの上でパンを いじめちまうか わかる?」 

彼は続ける。 

「パンが おれに、全てを与えてくれないからだよ。」

え・・?  

「だから おれは いつも、やりすぎちゃうんだよ・・。」

 

そんな。 そんなことないのに。 

確かに、初めの頃はそうだった。 

あの頃は、どうしてトランクスが、会うたびに わたしを求めてくるのか わからなかった。

そして 何より、強すぎる快楽に 引きずられて、溺れていくのが怖かった・・・。

だって、仕方ないじゃないの。 

わたし これまで、トランクスしか好きになったことがないんだもの。 

どうしていいのか、本当に わからなかったんだもの。

 

握りしめていた手のひらに、ぬるい液体が滲んで、こぼれた。

瞬きが終わらぬ速さで 脚を大きく開かされ、奥深くまで貫かれる。 

わずか数秒前、ついさっきまで この手の中に あった、熱く硬いものによって。

 

「好きだ。 好きだよ、 パン。」 

何度となく繰り返して、トランクスは果てた。

胸に顔を埋めた彼の髪は、いつの間にか、いつもの すみれ色に戻っていた。

「わたしも、」 その髪に、指を通しながら わたしも言った。

「わたしも好きよ、トランクス。」

本当よ。 本当に、本当に、好きよ。

 

数分ほど経ったのち、 いつもの調子を取り戻した 彼は言った。

「ところどころ、記憶が途切れてるんだよな・・。 おかしいな、そんなこと 昔は なかったのに。」

「修行が足りないのよ、きっと。」 

「そうだな・・。」 

 

苦笑いを浮かべた後で、トランクスは こんな話を始める。 さっきの、思い出し笑いの理由だ。

 

あれって、いつだったかな。 パンやブラが、生まれる前だと思うよ。

何かの時、C.C.に大人たちが集まって飲み食いしててね。 

あ、うちの父さんは もちろん、その場にはいなかったけど。

おれと悟天が、簡単に超化できたのは いったいどうしてだ、って話になってさ。

それで 悟空さんが、はっきりと言ったんだよ。 

悟天は、超サイヤ人のままで生活した時にできた子供だって。

そしたら 誰かが、なら トランクスも そうなのかって言い出して・・・。

 

「で、母さんは なんて答えたと思う?」 

「さあ・・。」  わたしは首を、横に振った。

「そうだった気もするけど、心当たりが多すぎて特定できない。 わかんない、って答えたんだよ。」

 

トランクスが、おかしそうに笑っている。 なつかしむような、慈しんでいるような、優しい目と話し方。

そんな彼を見ると、わたしは いつも、せつないような、ひどく苦しいような、

どうしようもない気持ちになる。

たまりかねて、覆いかぶさる。 もう一度、キスがしたくて 距離を縮める。

 

 

「パン・・?」  

驚いた。 近づいてくるパンの瞳が、翡翠色に見える。 

おまけに、トレードマークである、艶のある黒髪がみるみるうちに黄金色に変わっていく・・・。

 

だが、 その時。

『うあーん、 パパー、ママー、 こっちに来てーー。』

例のスピーカーから、娘の声が聞こえてきた。

「キャミ!! どうしたの!!」 

弾かれたように起き上がり、そこいらに散らばっていたパジャマを はおる頃には、

いつものパンに戻っていた。

 

パンの後に続いて、おれも娘の元へ向かった。

結論から言うと、何も 心配なかった。 

どうも、怖い夢を 見たらしい。 

遊びに行ったC.C.で、従兄たちと一緒にTVゲームをやりすぎたのだろう。

でも、 この言葉は さすがに笑えなかった。

「パパとママが変わっちゃったの。 目が、きれいな緑色になってね、髪の毛も金色になって・・・。」

 

パンのあれは、超化の兆しだったのだろうか。 

もしかするとパンも、悟飯さんが超化していた時にできた子だったんだろうか。

「これは 近いうちに、ちゃんと確かめないとな。」

 

夜、 寝室、ベッドの上。

娘と、見事に母親の顔になっているパンの寝顔を見つめながら、おれは そんなことを考えていた。