「パンはさ、おれのどこが好き?」 「どうしたの? いきなり。」
悟天とブラが そんな話をしていたことを、手短に説明する。
「うーん、 そうね・・。」
そんなに考えないと出てこないのか・・。 ちょっとショックだ。
けど、考えている顔も やっぱりかわいい。
そうだ。 おれは、パンを抱きかかえた。 「えっ? なに?」
「しっぽの痕、見せて。」
びっくりしている顔もかわいいパンを、ベッドに下ろす。
「痕なんて無いわよ。 わたしは、生まれた時 お医者様に・・ 」
「ブラもそう言ってたよ。 だけど悟天にはわかるらしいんだ。」
「そんな・・ やだ、電気 消して・・ 」
眉を寄せていても かわいいパンにキスした後で、おれは言った。
「だめだよ。 暗いと、見えないだろ。」
「・・パンがあんまりかわいいからさ、 我慢できなくなるんだよ。」
ちょっと不機嫌な様子の、彼女の髪を 指で梳く。
「いつも そんなことばっかり・・。」
「だって、ほんとのことだからさ。」
言いわけをしながら おれはパンのこういう、
自分の魅力に気づいていないようなところが 一番好きなのかもしれない、なんて思った。
「あーあ、よかった。 パンが 他の奴のものになってなくて。」
彼女の胸に顔を埋めて、やわらかな匂いを吸いこんでみる。
「もし わたしに恋人ができてたら、どうしてた?」
パンは、そのしなやかな指先を おれの髪にくぐらせた。
とっても気持ちがいい。 だから、そのままの姿勢で答える。
「戦って奪い返した、かな。」
彼女の指の動きが止まった。
「普通の人がトランクスに敵うはずないじゃない。」
「構うもんか。 おれにとっちゃ、敵だからね。」
「トランクスって、ほんとに・・ 」
パンは、まわしている腕の力を強めて おれの頭を抱きしめてくれた。
「ほんとに、 何?」 「・・ううん。 ねぇ、しっぽの痕って あったの?」
「ああ。 見た目はわかんないけど、手触りが少しだけ・・。」
彼女の腰の下と シーツの間に、手を差し入れる。
「あ・・っ 」
指を動かすと、パンの特にかわいい声が聞こえた。
顔を覗き込もうとしたら、こんなことを言い出した。
「ずるいわ。自分ばっかり。」 「え?」
「わたしにも見せて。 トランクスのしっぽの痕。」
おれのはいいよ・・ と、部屋のライトを消そうとすると、結構 強い力で手首を掴まれた。
「そうだ。 じゃあさ、バスルームに行こう。 一緒に入ってくれたら見せるよ。」
「・・それなら、いいわ。」 パンは、掴んでいた手を離す。
「狭いし、トランクスと一緒だと 体をちゃんと洗えないもの。」
そう言って 頬を染めるパンは、ほんとうに・・・
「かわいいなぁ。 おれがきれいに洗ってあげるよ。 さ、行こ・・。」
おれは、再び 彼女を抱き上げた。
「もうっ・・。 」
トランクスって、本当に 強引で自分勝手なのよね。
だから、いろんな人と付き合っても長続きしなかったんだと思うわ。
だけど、もしかしたら わたしは、彼のそんなところが一番好きなのかもしれないわ・・・。
狭いバスタブの、温かいお湯の中。
手を伸ばして、トランクスのしっぽの痕を確かめながら、わたしはそんなことを考えていた。