『チャームポイント』
[ 天ブラ、トラパン、その他(笑)テンコモリで ラブラブです。]
夜、 C.C.。
仕事から帰宅したおれは、ダイニングで軽めの夕食を摂りながら悟天と世間話をしていた。
そこへ、子供たちを寝かしつけ終えたブラがやってきた。
頑丈な造りのテーブルを、何も言わずにひょいと片手でずらす。
(こいつには、戦い方を教えなくて正解だ。)
そして、椅子にかけている悟天のひざの上に乗った。
そんな時のブラの表情は、母さんにそっくりだ。
だけど悟天は、特にイヤな顔をしたりはしない。
そこが父さんとの大きな違いだ。
あの両親のもとで育ったおれは、こんな時いちいち反応すべきじゃないってことを心得ている。
「・・あんまりベタベタすると、また腹がふくらんじまうぞ。」
一言だけ言い残して、席を立った。
「ねえ、悟天はわたしのどこが好き?」
まだ若いとはいえ、三人の子持ちとは思えない言葉だ。
(年数が合わないのは、双子がいるせいだ。)
あの母さんの娘だから、仕方ないか。
そう。
悟天とブラ夫婦の会話にちょっと興味を抱いたおれは、
気を消して 隣のキッチンで耳をすましていた。
「うーん・・ きれいで、かわいいところかな。」
ブラは自分の容貌に自信があるけれど、母さんに似すぎていることへのコンプレックスも根深い。
案の定、不満げな様子だ。 そんなブラに悟天は言った。
「きれいなのは、いいことだよ。
ブルマさんがきれいだから、ベジータさんはC.C.について来たんじゃないかな・・。」
・・・そう来たか。
「うちのお父さんが、ドラゴンボール探しの旅について行ったのも、ね。」
「そうなの?」
「多分ね。
そして お母さんがかわいかったから、天下一武道会で再会してすぐ 結婚しちゃったのさ。」
「ふふっ。 そうね、きっと・・・。」
うまいこと言うな。 けれど、ブラはそれだけじゃあ満足しない。
「そうだなぁ。 あとは、かしこくって、がんばりやで・・・ 」
一旦言葉を切った悟天は手を・・・。
「・・この辺にシッポの痕があるところかな。」 「きゃあっ。」
ブラが甲高い(だけど、うれしそうな)悲鳴みたいな声をあげる。
「もうっ。 痕なんてないわよ。」 「そう?」
「そうよ。わたしは女の子だから、ママがちゃーんとお医者様に頼んでくれたの。」
さすがにバカバカしくなって、おれはその場を後にした。
「パンちゃんだって、そうなのよ。 ねぇ、お兄ちゃん、そうでしょ?
・・あら?ついさっきまで、立ち聞きしてたはずなのに。」
「パンのところにでも行ったんじゃないの?」
アパートの部屋の前。
玄関のチャイムを鳴らすと、扉はすぐに開かれる。
「確かめないで開けちゃ ダメだろ・・・。」
彼女に敵う奴なんて、この地球にはそうはいないってわかってる。
けど、やっぱり心配なんだ。
「だって、トランクスだって 気でわかるもの。」
そう言って笑うパンは本当にかわいい。
部屋にいる時も、外で会う時でも 化粧はほとんどしていないけど、
いつだって とってもきれいだ。
だけどパンはブラみたいな質問はしてこない。
だから、かっこ悪いかもしれないけれど おれは自分の方から口にする。
「パンはさ、おれのどこが好き?」
後で シッポの痕でも見せてもらおうかな、なんて思いながら。