『時をかける少女』

13歳の未来パンがタイムマシンで現代に行く お話です。

未来トラパンの My Little Lover』 『月に願いを あたりを、

併せて お読みいただけましたらうれしいです!]

この地球は、一度 死にかけた。

支配することを目的とせず、まるでゲームのような感覚で 殺戮と破壊を繰り広げていた二人組、

人造人間からの攻撃によって。

だが それは、ぎりぎりのところで阻止された。

時間を遡って訪れた世界。 

そこで多くの人々と出会い、特別な修行を重ねてきた最後の戦士、トランクスによって。

 

それから、8年余りの歳月が流れた。 

まだまだ昔通りとはいかないものの、平和を取り戻した都。

そこの一等地に建てられた、新生C.C.社の社長室の電話が、けたたましく鳴り響いた。

女性が、受話器を取る。 

「はい、C.C.社で ございます。」 

秘書であり、研究員でもあり、とにかく さまざまな役割を担っている、有能な女性だ。

「社長! トランクス社長!」  

ちょうど 外に出るところだったトランクスを、追いかけて呼び止める。

「ご自宅から… ブルマ会長からお電話で、至急 戻るように とのことです。」

「? 何か あったのかな。」 

「パンちゃんが タイムマシンで、とか何とか… かなり あわててらっしゃいました。」

 

その言葉が終わるよりも早く、地面を蹴って トランクスは飛び立った。

人前で空を飛ぶのは控えていたし、第一、飛んで行く程の距離ではない。

けれど 今は、そんなことは とても考えられなかった。

 

 

パパとママに会ってみたい。 

名乗ったり、自分の話をしすぎてしまえば、悪くすれば歴史を変えてしまうかもしれない。

だったら、離れた場所から 見つめるだけだって構わない。 

そう思い始めたら、もう止まらなかった。

以前 トランクスが旅した際のデータを、コンピューターで何度も見て おさらいした。

こっそりと、自分なりのマニュアルも作った。

そして わたしは、ついに乗り込む。

かつて、わたしと出会う前のトランクスが座った操縦席の、シートベルトを しっかりと締める。

」  

フロントガラスの向こうに 小さく、追いかけてきたブルマさんの姿が見えた。

わたしの様子が おかしかったことに気付いたらしい。

ごめんなさい。 何の相談もせずに、勝手に。

でも きっと 大丈夫。 まるで、何事もなかったみたいに、涼しい顔で帰ってくるから。

 

ものすごいスピード、ありえない圧力。 

それらに必死に耐えたのち、わたしは無事に、産まれてくる少し前、約14年前の世界に着いた。

ただし… わたしたちが暮らしている、あの世界ではない。

ブルマさんに送り出されたトランクスが留まり、

皆の力で平和を取り戻すのを見届けた、もうひとつの世界。

もう一人の わたしが、産まれてくるのであろう世界だ。

 

ハッチを開いて外に出て、草木の茂る地面に降り立つ。

このタイムマシンのすごいところは、場所の移動もできることだ。

ここは、パオズ山の近くのはずだ。 

パパが生まれ育って、こちらの世界では おそらく、今も暮らしている家がある所。 

ママの家は、どこにあるのか わからないから。

 

いけない。 まずはタイムマシンを、ちゃんと収納しなくては。

その時。 「… !」  よく知っている気を感じた。

わざと抑えているようだけど、それでも感じることができた。 

だって その気の持ち主、 それは…

「トランクス!」

 

もちろん、わたしが知っている彼ではない。 ここは異なる次元、別の世界なのだ。 

それに、目の前にいる彼は わたしと同じくらいの年頃に見える。

「どうして、おれの名前を知ってるの? それに、さっきの ヘンな乗り物。」  

タイムマシンを、見られてしまったようだ。

「君、 いったい誰なの?」 

「パンよ …。」

青い瞳に見つめられ、わたしは一気に言ってしまう。

「わたし、パンっていうの。 孫悟飯とビーデルの娘よ。 

タイムマシンで、こことは別の未来から来たの。」

 

少年の姿をした … という言い方は おかしいけれど、彼、トランクスは ものすごく驚いた顔をした。

けど その後で、笑顔になって こう続ける。 

「パン。 パンちゃんっていうんだ。 可愛い名前だね。 

へえー、悟飯さんとビーデルさんって、やっぱり結婚するんだ。」

あっ、こっちとは別なんだっけ。 でも、こっちだって そうなるよね。 

そんなふうに、付け加える。

「そうか、タイムマシンで…。 ママや周りの大人たちから、いろいろ聞いてるよ。 

どうしたの?また何か、大変なことが起きたの?」

 

「ううん、違うの。」 かぶりを振って、わたしは答える。 

「パパとママに、会いに来たの。」

「悟飯さんとビーデルさんに? だけどさ、こっちでの二人は、正確には君の両親じゃないんだよね?

 どうして、」

そう。 そうなのだ。 だけど…

「わたしね、幸せな二人の姿が見たいの。 

向こうの世界のパパは わたしが生まれる前に死んじゃったみたいだし、

ママも、わたしが小さかった時に…。」

黙ってしまったトランクスに向かって続ける。

「だからね、詳しいことは わからないんだけど、多分 短いお付き合いだったんだと思うの。 

とっても、大変な状況だったし。 だから… 」

トランクスは うなずく。 

「そうか、そうだね。 何となく わかるよ。 そっちの世界の おれのママも、そうだったんだよね。」

 

そうね。 わたしのパパが亡くなった後、17歳のトランクスをタイムマシンで送り出し、

わたしのおじいちゃんでもある孫悟空さんを 病死から救おうとしたブルマさん。

でも、そうしたからといって、直接 事態が好転するわけではなかった。

トランクスが人造人間を滅ぼすことができたのは、特別な修行や、

たくさんの人達との出会いによって、大きな力を授けられたためだったのだ。

 

「そうと決まれば、さっそく会いに行っちゃおうか。 この時間は、大学の方にいると思うよ。」 

「そうなの。」

「ところでさ、君、いくつなの?」 

「13歳よ。」

「へえ、 おれより ひとつ上だ。 でも、ひとつくらいじゃ変わんないよね。 

パンちゃんって呼んでいい?」 

「うん。 もちろんよ。」

「悟天にもさ、おれより ひとつ下なんだけど こないだ背丈を追い越されちゃって… 

あ、悟天ってのは悟飯さんの弟だよ。 君の、叔父さんだね。」

驚いた。 こっちのパパには、弟がいたのだ。

「悟天のとこに遊びに行こうとして、君の強い気を感じたってわけ。 

会ってみる? 先に孫家に寄っていく?」

迷ったけれど、わたしは首を横に振った。 

「ううん、残念だけど…。 あんまり、いろんな人に会わない方がいいと思うの。 

どんな影響が出るか わからないし。」

「そうかもしれないね。 じゃあ行こう。 何かの縁だから、おれが 案内するよ。」

 

 

慣れた様子でカプセルを取り出すと、またたく間にジェットフライヤーが出現した。 

C.C.のマークがついている。 わたしにとっても、それは見慣れているものだ。

「飛んだ方が速いけど、緊急の時以外は控えろって言われてるんだ。」 

それは、わたしの方でも同じだ。

「前は みんな、あんまり気にしてなかったんだけどね。 

このごろは、しつこく映像を撮ろうとする奴がいるもんだからさ。」

理由は、違っているけど。

 

わたしと12歳のトランクスを乗せて、ジェットフライヤーは飛び立つ。

せっかくの、またとない機会だというのに、パパの家を訪ねなかったこと。 

それは、さっき告げたことだけが理由ではない気がしてきた。

トランクスと、もっと話したい。 

わたしの知らない、少年の頃の彼。 

わたしの知っているトランクスとは、まったく 別の人であったとしても。

 

 

ジェットフライヤーの窓から、外を、都を 見降ろしている。

なんて、 なんて すごいんだろう。  

家、建物、 それに、走っている車の数! 

でも もっと驚いてしまうのは、あの中 全てに、人がいるということだ。

ブルマさんが よく、事あるごとに 口にしている言葉がある。

『昔とは とても、比べられないけどね …。』

その意味が、よく わかった。 

そして、人造人間からの攻撃による被害が、どれほど大きなものであったかと いうことも。

 

「そろそろ着くよ。 ほら、見えてきただろ。」 

「すごいわ…。」

大学も、こんなに大きいとは思わなかった。 まるで、一つの町みたいだ。 

降りた後、そのことを口にする。 すると、トランクスは こう答えた。

「これでも、以前よりは整理されたらしいよ。 学部をいくつか、地方の校舎に移したんだって。」

「そうなの? くわしいのね。」 

「だって、ママも この大学に通ってたことがあるんだ。」

やや自慢げに続ける。 

「長い間じゃなかったみたいだけどね。 飛び級したり、ほかの大学に編入しちゃったりで。」

そして、こんなふうに付け加える。 

「あーあ、おれも ここを受けることになるのかな。 あんまり、自信無いんだよな…。」

 

その時。 すれ違った人達に、声をかけられた。 「よお。」  

トランクスが、立ち止まって会釈を返す。 「こんにちは。」

「なんで小学生が こんなとこにいるんだ? 今日は学園祭じゃないぞ。」  

どうやら、からかわれているらしい。

「悟飯さんとビーデルさんに用があるんです。 

それに、おれも いずれ、この大学に入るつもりですから。」

つい さっきのぼやきとは真逆の、自信に満ちた言葉。 

長髪の男の人は肩をすくめ、一緒にいた女の人が 人懐っこい笑顔で教えてくれた。

「ビーデルたちなら西棟… 向こうの方にいたわよ。」 

「ありがとうございます。」  お礼を言って、教えられた方へと向かう。

 

「今 会った人達さ、悟飯さんたちの、ハイスクールの時の友達なんだよ。 

悟飯さんとビーデルさんはともかく、あの二人が この大学に入れるとは思わなかったなー。」

「…。」  

なんて失礼な。 このトランクスは やはり、わたしの知っている彼とは別の人だ。

 

そうこうしているうちに、強い気を感じ始めた。 胸が ドキドキしてくる。 

トランクスが、声を上げる。 「悟飯さん! ビーデルさん!」

促すように わたしの手を引き、駆け寄っていく。 

「やあ、トランクスじゃないか。 どうしたんだい、こんな所で。」

背の高い、黒い髪と瞳の男の人。 

とっても優しい話し方をする、この人が わたしのパパなの?

その傍らにいるのは、わたしのママ。 

それは、間違いない。 

うんと小さいころの記憶しかない。けど、微かにだけど、ちゃんと覚えている。

 

パパからの質問に、トランクスは こう答える。 

「見学してたんだ。 おれたちも、いずれ この大学を受験するから。」

「ずいぶん熱心だね、感心だなあ。 悟天にも、見習わせなきゃ…。 

その子は、学校の友達かい?」

わたしの方を見る。 心臓が、早鐘のように打っている。 

「そうだよ。 パンちゃんっていうんだ。」

「そう。 よろしく、パンちゃん。」  

名前を、呼んでくれた。

「パンちゃんっていうの? 可愛い名前ね。」 

黙っていたママが 口を開く。 

そう、 そうだった。思いだした。 ママは、こういう声だったのだ …。

瞼の裏が、熱くなる。 

何度も 何度も 瞬きをして、涙が出るのを必死にこらえる。

トランクスは、そのことに気付いたらしい。 

「ねえ、悟飯さん、ビーデルさん。」

目の前の二人に向かって 突然、こんなことを質問する。 

「二人は、結婚するんでしょ?」

 

何言ってるんだよ、いきなり。 

いずれね。話はしてるんだけど。  

わたしの予想は、どちらもはずれた。 パパは、はっきりと答えてくれた。

「うん、するよ。 絶対に、する。」

「悟飯くん… 」 

口を挟もうとしたママを制して、パパはさらに続ける。

「盛大には できないかもしれないけど、式も ちゃんと挙げるよ。 そうだ、」 

わたしの顔を見ながら、パパは こう言ってくれた。

「よかったら、君も出席してよ。 トランクスと一緒に。」

ありがとうございます。 ぜひ出席したいです。  

笑顔で答えを返す代わりに、わたしは深く頭を下げた。

 

大学のそばにある公園のベンチで、トランクスは わたしの隣に腰を下ろしている。

「君が出られなくても、こっちのパンちゃんは しっかりと 結婚式に出ることになるんだね。」

「そうね。 やっぱり、気付いてた?」 

「あったりまえさ。 ちっちゃいくせに、ものすごく強い気だったもの。」

そう。 この世界にも わたしが、パンが生まれてくる。 

平和な世界で出会い、結ばれたパパとママの元に …。

もう、これが最後のつもりで、わたしは ぐいと涙を拭った。

 

トランクスに、貸してもらったハンカチを見つめる。

C.C.のマーク入りの それは関係者への配布用で、ほとんど自分がデザインしたのだと威張っていた。

実は、向こうの世界でも同じことをしている。 

規模は違うだろうけど やはり、トランクスが一からデザインしたハンカチがある。 

わたしの、宝物の一つだ。

お礼を言って返そうとした わたしは ふと思い立ち、唇で 触れてみた。 

隣に座っている彼の、すべすべとした左の頬に。

驚いて、照れくさそうにしていたけれど、真っ赤になったり うろたえたりはしなかった。

慣れているのだろうか。 そうかもしれない。 

だって この世界は、こんなに たくさんの人がいるんだもの。 

可愛い女の子だって、きっと、たくさん。

 

トランクスが、こんなことを言う。 

「何だか、ママのキスに似てたな。」

「あっ、そうね、 そうかも。 だって わたし、五つの時にC.C.に引き取られたのよ。 

ブルマさんは わたしの、お母さん代わりだもの。」

「そうか。 じゃあ向こうのおれは、君の兄さん代わり?」 

「… 。  そうよ。 10歳以上、年上だものね。」

そんな簡単な答えを口にするのに、何故か、ずいぶん時間がかかってしまった。

 

 

トランクスに見送られ、わたしは再び タイムマシンに乗り込んだ。

来た時と同じ、凄まじいスピードと圧力。 

それでも どうにか無事に、元の時代、わたしの生まれ育った世界にたどり着いた。

戻ってきた わたしを迎えてくれたのは、やはり トランクスだった。

「パン! 何やってるんだ! なんてことするんだよ。 どれほど心配したか…。」 

「ごめんなさい。」

いつもは、パンちゃんと呼んでいる。 呼び捨てにするのは怒っている時、そう決まっている。

「まあまあ、 無事だったんだから…。 それに、ここの時間では ほんの一時間足らずじゃないの。」

間に入って、ブルマさんが なだめてくれる。  

「おれにとっちゃ、地獄の一時間だったよ。」 

トランクスが、不機嫌な声を出す。

できるだけ正確に合わせたつもりだったけど、そのくらいの誤差は生じてしまうようだ。

 

「時間旅行は危険なものなんだよ。 おれの場合は、やむを得ない事情だったんだ。 わかるだろ?

 いったい、どこへ行ってたんだよ。」

「パパとママに、会いに行ったの。」  

「…。」  「悟飯くんたちにってこと?」

ブルマさんからの質問に、答えを返す。 

「そう。 でも ここの じゃなくて、前にトランクスが旅した方の、過去の世界よ。 

パパとママは、大学生だったわ。」

「そうなの…。 大学生になったのね。 よかったわ…。」  

ブルマさんは、とっても うれしそうだ。

「パンちゃん、君、」  

トランクスが心配していることは だいたいわかる。 関わりすぎて、歴史を変えてしまうことだ。

「多分、大丈夫。 誰なのかは言ってないし、余計なことは特に…。 

偶然、向こうのトランクスに会って、大学に連れて行ってもらったの。」

「えっ !?」   

ブルマさんとトランクスが、ほぼ同時に声を上げた。

 

「そう、トランクスよ。 今のわたしより 一つ年下、12歳って言ってた。 

おしゃべりで、ちょっと生意気で、でも とっても親切だったわ。」  

それに、幸せそうだった。

付け加えた言葉を聞いて、ブルマさんが顔を逸らす。 

目元を、押さえている。

そうね。 向こうのトランクスが幸せそうであること、 

それは きっと、家族みんなが幸せだということだから。

 

そんな やりとりの中。 

少し離れた場所から わたしたちを見守っていた女性が、走り去って行くのが見えた。

「・・・さん!」  

名前を呼んで、追いかける。

あの人はC.C.社の研究員で、他にもいろんなことを任されている、優秀な女性だ。 

社長秘書のようなこともしている。

そして、他の社員や 取引先の人からは、トランクスの恋人だと思われている。 

もう、若奥さんのように扱っている人までいる。

 

「・・・さん …。」  

追いついた。 わたしは もちろん何ともないけど、彼女は、肩で息をしている。

「ごめんなさい、心配かけて。」 

「一番 心配してたのはトランクス社長よ。 あとで もう一度 謝ってね。」 

「うん…。」

「それとね、 私、はっきり断られちゃった。 仕事以外のパートナーにはなれないって。 

パンちゃん、あなたのせいよ。」

「… 。」  

なんと答えていいのか、わたしには わからない。

 

「嘘よ、ごめんね。 私ね、いろんなものを利用して、チャンスに換えようとしたの。 

仕事上の立場、社長の優しさ、それに パンちゃん、あなたが まだ子供だってことも。」

言葉を切って、続ける。 

「でも、ダメだったわ。 あなたたちの間には入り込めなかった。 ねえ、あなたたちって、普通の人間じゃないんでしょう?」

「安心してね、仕事は ちゃんと続けるわ。 

私だって この世界を建て直したいって、心から思ってるのよ。

そう言い残して、彼女は再び、踵を返した。

声には涙が混じっていたけど、わたしは何も言えなかった。

 

 

「両親に会いたいって気持ちは よくわかるけど、どうして急に…。」 

「家族代わりの わたしたちに言えない悩みがあって、苦しかったんじゃない?」

そう言った後、ブルマは息子の顔を見つめる。 

「・・・さんには、ちゃんと話をしたんでしょ?」

頷いたトランクスに向かって 続ける。 

「仕事もできるし、魅力的な子だけど… 仕方ないわよね。 

あんたはパンちゃんに、出会ってしまったんだから。」

 

 

同じ頃、ブルマさんとトランクスが そんな会話をしていたことを、わたしは もちろん知らなかった。

 

タイムマシンで旅立つ時、向こうの、12歳のトランクスに こう言われた。

『気にすること ないんじゃない? 年の差なんて。』

『どうして、あなたが そんなこと 』 

『何となくだよ。 だって最初っから おれの顔、やけに じーっと見てたし。』

そして、こんな話を始めた。

『サイヤ人は、頑丈で身体能力が高いってだけじゃないよ。 戦うために、青年期が長いらしいんだ。

 混血の おれたちだって、そうなんじゃないかな。』

 

だから、年なんか、あんまり 関係ないってこと!

そう言って笑った彼の顔は、わたしの大好きなトランクスの笑顔と同じだった。

 

わたしは考えている。 

向こうの世界で産まれるパンも、13歳年上のトランクスに 恋をするのだろうか。

平和で豊かな暮らしの中で、それでも彼に魅かれるだろうか。

そうだとしたら トランクスは …。

年なんか、関係ないよ と答えるだろうか。 

わたしに、言ってくれたとおりに。