シャワーを済ませ、濡れた体を タオルで拭いながら 部屋に戻る。

するとトランクスは また 例の、小型の自動販売機の方を見ていた。

どうやって使うのか よくわからない、あやしげな器具が売られている。

「トランクスったら もう… あっ!」

彼ときたら なんと、自分の小銭入れからコインを取り出し、販売機に投入した。 

鈍い音とともに、商品が落ちてくる。 

「なんなの、それ。」

強い口調で、わたしは念を押す。 

「イヤよ、そんな物 使うの。」

 

 

警戒して、身を固くしてしまったパン。 

「大丈夫だって。 別にヘンな物じゃないよ。」

抱き寄せながら、どうにか なだめる。 

「さっきも言ったろ。 おれ以外が、パンの中に入るのはイヤだって。」

「じゃあ いったい…、 あ、 あっ… 」 

「こうやって、当てるだけだよ。」

 

ベッドの上に押し倒し、まずは乳首に当ててみた。 

そう、これは振動で、敏感な部分を刺激してやるための物だ。

もう片方の胸は、いつもどおりに 手で揉みしだく。 

身をよじり、逃れようとするパン。 

でも、許さない。 覆いかぶさり、耳元で ささやく。 

「どう?」 

「どうって… 」 

「気持ちいい? こういう刺激は、人の手じゃ無理だもんな。」

 

ごく簡単な造りの、小銭を数枚出せば買えてしまう機械。 

それでも独特の、低い音が響いている。

「きゃっ… 」 

パンの脚を開かせて、ある一個所に押し当てる。

「あっ、 イヤっ、 ああっ… 」 

「効果は抜群ってとこだね。 やっぱり、ここが一番か。」

「バカっ、 そんなこと言わないで! …っ

 

これを当ててやったまま、あれをしたら どうなるんだろう? 

それとも パンの大好きな あれを、同時にしてやったとしたら?

いくつかの思いつきが、頭をよぎった。 

けれども おれはスイッチを止め、手にしていた 小さな機械を ベッドの下に放り投げた。

そして すかさず、パンの中に入り込む。

 

 

「ああ… !」 

「ふう、 危ないところだったな。」 

「えっ…?」 

「だってさ、あのままじゃ パン、いっちゃってたろ?」

「なによ、だってトランクスが、」 

「感じるのは いいんだけどさ、おれ以外でいっちゃうのは、ちょっとな。」

「もうっ、バカ! いつも いつも、そんなことばっかり!」

 

もう、本当に、強引で、エッチで、勝手なことばかり言って。

思い切り 押し返して、払いのけてやりたい。 

もう 当分、セックスなんかしたくない。 

きっぱりと そう言ってやりたい。

でも、できない。 18歳の頃、初めて抱かれた あの日から… 

「よっ、 と。」 

「ひゃっ、 あっ、 だめえ!」 

「なんで?気持ちいいだろ?」

 

 

おれは今、繋がったまま 指で、パンが最も 感じる部分を苛んでいる。

パンとこうなって まだ日の浅い頃、

挿れるだけでは感じていないように思えて、試した。

けど、いつもってわけじゃない。 おれの方が、もたなくなることが多いから…。

「片手の腕立て伏せを思い出すんだよな、これ。」

そんな軽口も、じきに言えなくなる。 

だってパンが、おれの耳元に向かって、小さな声で ささやいたから。

「お願い、 普通に、突いて…。 」

 

あえぎ声、吐息。 

上気した頬、何も塗っていないくせに、紅く濡れた、小さな唇。

「ごめん、パン。 ちょっと早いけど… 」

ああ、パンは可愛い。 

顔も 声も 体も、何もかも全部 可愛い…。

 

終わった後は抱きしめて、そのまま眠ってしまいたくなる。  

でも ダメだ。  C.C.に預けてきた、キャミが待ってる。 

時間に追われてしまうのは 昔と変わらないけど、

「あー、パンと結婚できて ホントに よかったなー。」

「? どうして?」 

「だってさ、おんなじ家に帰れるじゃないか。」 

「ふふっ、 そうね。」

「で、夜寝る前に また、ゆっくりと続きをさ。」 

「もうっ、やだ、バカ!」

 

二度目のシャワーを済ませ、身支度をする。 

床に転がっていた、例の機械を拾い上げる。 

気付いたパンが、尋ねてくる。

「どうするの、それ。」  

「うん…。」 

捨てようと、くずかごに目をやる。 だけど こっそり、上着の内ポケットの中に入れた。 

見ていたと思うけど、パンは何も言わなかった。

 

一基しかないエレベーターを待つ間、手持無沙汰な おれは、傍らのパンに手招きをした。 

「さっき、何度もしたのに。」  ぼやきながらも応じてくれる。 

やわらかな唇を貪って、扉の開く気配で 離れる。

「…。」  人が乗っていた。 

顔を見ないようにし、乗り込もうとすると… 

「しゃ、社長!!」  

?  なんだ、うちの社員じゃないか。  

「そ、それに奥様も…。」 

うわずった声を出した後、深々と頭を下げた男に向かって、パンも短く挨拶を返した。 

「こんにちは。」

 

C.C.に向かう車の中で パンは言った。 

「今さっき会った人…  一緒にいた女の人、奥さんじゃないわ、多分。」

「あ、 そうだっけ?」  

以前、パーティーで手伝いをしてくれたことがあったとかで、顔を覚えていたらしい。

「個人の事情だから何とも言えないけど…。 今日は日曜日なのよ。 お子さんが、かわいそう。」

信号待ちを利用して、パンの手を そっと握った。

 

「ねえ。」 

「ん? なに?」 

「どうするの? さっきの、あの機械。」  

懐に入れたのを、やっぱり見ていたんだ。

「あれ自体は もう使わないよ。」 

「? それじゃ いったい、」 

「分解して研究するんだ。 もっと いろんな機能のついた、性能のいい物を造るためにね。」

うん。 まずは、完全防水にしないとな。 でないと すぐに故障しちまう。 

だって、パンの・・・ときたら…。

「かわいい奥さんとの性生活を、もっと楽しむためだよ。 言ってみれば、パン専用機だな。」 

「!! トランクスー!」

そんな やりとりの中、車はC.C.に到着した。

 

C.C.では、キャミがパンのバッグを開けて、

ホテルで脱いだ下着を持ち出しちまうという ハプニングがあった。

あ〜、よかった、自分で持ってて。 

間違って、バッグになんか入れてなくて… 

「あ、あれ? どこ行った? …わあっ!」 

いつの間にか、キャミの手の中に それは あった。 

「ねえ、 これ何かしら、おじいちゃん。」 「…。」

よ、よりによって 父さんに…。 

隣にいるパンの 怒った顔は、ちょっと さすがに見れなかった。

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秘密のデート トラパン編』という お話の、ラ○●での場面を膨らませました。

作中に登場するモノは、ほんとはロー●―ってやつだと思うんですが、

響きが良い?ように思ったので こういうタイトルにしました。]