「ねぇ・・・」
寝室、 ベッドの上。 ベジータは、壁に向かって横になっている。
わたしに背を向けて。
まだ眠ってなんかいないのに、返事をしてくれない。
それでも怒ってどこかに行ってしまわなかっただけマシかもしれない。
孫くん、恨むわよ。
まったく、ああいうところ、なんとかならないんだろうか。
だけど、チチさんに厳重に抗議しておいたから、今頃うんと叱られてるわね。
いい気味だわ。
「ねぇ・・・わたしはやられたほう。被害者なのよ。」
ベジータは、まだ背を向けたままだ。
「それに20年・・・ううん、もっと前かもしれない。あんたと出会う、ずーっと前・・・ 」
「そんな昔から、くだらんことばかりしていたんだな、おまえたちは。」
やっと、ようやく口をきいてくれる。
「もし、その頃から一緒にいたとしたら、あんたはどうしたかしらね・・・?」
ベジータがこちらに体を向けて、口を開きかける。
「・・・。」
何か言いかけたけれど、口をつぐんで目をそらす。
小さく、舌うちをしている。
わたしは両手で、彼の頬をそっとはさんだ。
「あんたのことを好きになってからずーっと、わたしはあんただけのものだわ。
知ってるでしょ?」
やっと、わたしの目を見てくれる。
「・・・当たり前だ。」
小さな声でそう言うと、ベジータはわたしを抱き寄せた。
その夜、わたしは何度も何度も彼に言った。
「好き・・・。」
何年たっても変わらない、自分勝手でやきもち焼きな、愛する夫。
愛しい男に。
123.『愛しい男』
[ 『奇跡の地球』のなぎ様が、’08冬にupされていた拍手マンガに
萌えたぎってしまい 勝手に続き?を書いて
夜中にメルフォから送りつけてしまったというのに(←メイワク)。
ステキなイラストまで描いて下さいました!!
ベジータ目線のお話 『頭にくるぜ!』を併せてお読みいただけましたら
うれしいです。]