100.『頭に来るぜ!』

[ 『奇跡の地球』のなぎ様が08冬にupされていた拍手マンガのつづきとして、

(勝手に・笑)書いてしまったものです。

ブルマ目線の『愛しい男』と併せてお読みいただけましたらうれしいです。]

「ねぇ・・・。」

寝室のベッドの上。

眠ったふりをして背を向けている俺に、ブルマは何度も話しかけてくる。

 

あんまり腹が立つから 誰もいない場所にでも飛んで行ってやろうとしたが、思いなおした。

なんで俺が出て行く必要があるんだ。

 

カカロットの野郎。

奴は、ああいうところがやはり下級戦士だ。

下品で、おまけに無神経ときてる。

今頃、母親に叱られたガキみたいにしょぼくれてるだろう。

いい気味だ。

 

「ねぇ・・・ わたしはやられたほう。被害者なのよ。」

ブルマは必死に弁解している。

「それに20年・・・ ううん、もっと前の話だわ。

 あんたと出会う、ずーっと前・・・ 」

 

そんな小娘の頃から、つるんでやがるくせにあいつら・・・

地球の奴らが、こいつのことをわかろうとせずに

下品なことばかり考えているのも、気に入らねえ。

 

・・いや、 そうじゃない奴もいたのか。  あの中に、一人だけ。

 

「そんな昔から、くだらんことばかりしていたんだな、 おまえたちは。」

振り返って、ちらっと目にしたブルマは、不安げに眉を寄せている。

 

昔、何度か見かけた。

背を向けたこの女の機嫌を 必死にとろうとしていたあいつは、確かこんな顔をしていた。

 

「もし、その頃から一緒にいたとしたら、あんたはどうしたかしらね・・・。」

その言葉を聞いて、俺は思わず向き直した。

 

冗談じゃねえ。 俺は、あの優男とは違う。

自分の女に悪ふざけされて、黙ってなんかいられるか。

と、口に出してはいないのに、ブルマは何故か満足げだ。

 

「あんたを好きになってからずっと、

 わたしはあんただけのものだわ。 知ってるでしょ?」

でかい青い瞳には、俺の顔が映っている。

 

「・・・当たり前だ。」

 

 

その夜、

俺の腕の中で、ブルマはいつもの言葉を何度もささやく。

「好き・・・ 」  「もう黙れ。 わかってる。」

 

それでも、かすれた声で耳元に、何度も何度も繰り返す。

 

俺もだ、 って言っちまいそうになる、

自分が一番、 頭に来るぜ!