200.『揺れる心』
[ 第7話です。担当は Mickey様です。]
フラフラとする飛行にさっきとは違って安心感を得られない。
別にトランクスを信用してないとか、そういうことじゃなくて、
まだ4歳の息子には流石に私の体は大きいのだろう。
何度も抱え直している。そんなに無理して飛ばなくたっていいのに・・・
というか、飛んじゃダメだって言ってたのに・・・
まぁでも、目の前で父親が飛んでいく姿を見せられたら約束も意味なくなるわよね・・・
とりあえず、目論見通りにトランクスの園での様子を見せることは出来た。
それでプラスマイナス、ゼロってことで今日はお咎め無しね。
でも、あの親子にはなんて説明を―――
あ。ママならうまく誤魔化してくれるわよね?!
「トランクス。一旦下に降りてくれる?ジェットフライヤーで帰りましょ」
「え〜・・・飛んで帰れるよ、ボク」
「でもね、飛んじゃダメだって言ったでしょ?誰かに見られると後で大変なのよ。
ママも困っちゃうの。ね?」
まだ納得いかないといった顔をするもコクンと頷くトランクス。
自分で言うのもなんだけど、
私とベジータの子供のくせによくもまぁこんなに良い子に育ったと感心すらする。
ママのお陰かしら?
いやいや、私の性格を受け継いだのよね。
そんなことを考えながらも人気のないところに降りたトランクスも乗せて自宅へと向かう。
今日はなんだか仕事をするよりも疲れる気がする。
―――そういえば。と、ベジータが怪我した女の子抱えあげたことを思い出した。
トランクスですらその手に抱いたことないくせに、女の子は別ってことなのかしら?
そんなにかわいい子だった?
あまりにもその光景が滑稽すぎて、女の子の顔なんて少しも見てないわ。
・・・もしかして、好みの子だったとか・・・?
いくらなんでもそれはないわよね?
ない、わよね?
だって、トランクスと同じ年の子よ?
・・・・・・・・・。
「ママ?」「・・・・・・え?」
「どうしたの?とっくに家に着いたよ?」
「え?あ、そ、そうね。そうだったわね。あはははは・・・」
「ママ、変なの。ねぇ、これから悟天のところに遊びに行ってきても、いい?」
「あ、はいはい。いいけど、一人で行けるの?帰りは悟飯君に送ってもらってね?」
「は〜い。行ってきます!!」
玄関から入りリビングへと足を向けると、何か食事をしたのだろう。
使った食器がシンクにたくさん積まれていた。
さっき食べたばかりなような気がするのは、私の朝食の時間が極端に遅かったせいだ。
テレビで重力室のモニタを確認すれば、
文句を言っていたわりにしっかり重力室でトレーニング中のベジータ。
まったく・・・重力室、調子悪かったんじゃないの?
そこで思い出したさっき思い当たったこと。
トランクスが女の子だったらベジータはあの子と同じように抱えてあげるのだろうか?
必要以上に娘について回ったり、カメラ片手に運動会とか張り切って撮影したり?
・・・・・・ないわね。
想像できないわ。なら、やっぱり・・・年下好みってこと?
にしても年下過ぎない?ありえない!
とはわかっていてもそんな風にしか考えられない。
だって、じゃなきゃ怪我人に手を差し伸べるなんてそんなこと、
ベジータの性格から言って考えられない出来事であることに今更ながらに焦りだしていた。
[ 第8話 『メンテナンス』につづく ]