023.『妹が生まれる』

第6話です。担当はMickey様です。OH〜!とらぱん。←しつこい・笑 ]

パンがいないことに気付いたビーデルは慌てて辺りを捜しまわり始めた。

きっとさっきいなくなった時もこうだったのだろうと容易に想像できる。

それにしても、女とはいえ仮にもサイヤ人の血を引いた子供。

外に出ていたとして、車にひかれたところで壊れるの車のほうだろうに

地球人の女は子供に対してい心配し過ぎるような気がする。

というか、そんなに慌てなくともこの敷地内に居ることくらいすぐにわかった。

 

「・・・おい」

「落ち着くだよ!ビーデルさ!!」

「そうよ。さっきも勝手にいなくなっちゃったけどまたすぐに見つかるわ!!」

「けど!!あの子まだ歩くのも覚束ないのに・・・」

 

・・・ふざけるな!!

歩くのが覚束なくても重力室の扉をこじ開けたんだぞ・・・

心配するなら家の方だろうが!!

 

「なぁ」

「何だべ、悟空さ」

「ビーデル、落ち着けよ」

「・・・お義父さん」

「パンは大丈夫だ。ちゃんとこの家ん中にいっぞ。それに・・・」

「・・・サボりやがったのか?」

 

カカロットの視線がオレを捉えた。

言わんとしてることはすぐに分かったからそう付け加えた。

学校から帰って来るにしては早すぎる。

しかもいつもなら玄関から帰ってくる奴がここを通らずに直接部屋に居るなら、

そう結論付けるしかない。

 

「何なのよ!!二人して分かったような顔して」

「まぁ、とりあえず行ってみっか」

「どこにだべ?」

 

どうやら瞬間移動はしないらしいカカロットが促すように道を示した。

案内しろということなんだろう。

・・・・・・っち。

何なんだ今日は・・・

 

 

妹なんてまだ生まれてないし、

居ないものに対して実感なんてものも湧いてくるわけもないけど、

小さくてかわいらしい赤ん坊を抱っこしているとなんだか不思議な気持ちになってくる。

兄弟なんてもう出来ないものだと思っていたから。

 

常々兄のいる悟天がうらやましくて仕方がなかった。

もちろん悟飯さんは一緒に遊んでくれたし、兄のような人だとは思ってはいるが

やっぱり実の兄弟である悟天のようにはいかない。

年も離れているし、性別も違うから悟天たちのような兄妹にはならないだろうけど、

やっぱりうれしい。

「あれ?寝ちゃってるや・・・」

 

お菓子とスポーツドリンクを飲みほしたパンを抱き上げ、

こちらに向けてくる笑顔を眺めながらそんなことを考えていれば

いつの間にか眠ってしまっていた。

そのままビーデルたちがいるらしいリビングに連れて行った方が良いのかもしれないけど、

なんとなくこの寝顔をまだ見ていたくて自分のベッドに寝かせた。

「天使の寝顔ってやつ?」

 

パンが眠っている横に自分も横になって、万歳スタイルで眠る手がかわいくて指で突いてみた。

するとそれが無意識なのか、赤ちゃんはみんなそうするものなのかはよく分からないけど、

ギュッと握られた。

思った以上の力の強さにやっぱりと、小さく笑いがこぼれる。

規則正しい寝息が聞こえてくる。

体温が高いのか握られた指は暖かい。

なんだか、眠気に襲われる・・・

 

 

「すごいわね・・・パンちゃん」

「すみません・・・」

「赤ん坊はこうするのが仕事だべ。なんでもやってみたいもんなんだ」

「そうよね。これから生まれて来る子もきっと同じことをするんだろうから

先に知れてよかったわ。ありがたいくらいだわ」

「そう言っていただけるなら・・・」

 

目的地までの道のり、パンが侵入したらしい部屋のほとんどの扉はこじ開けられていた。

重力室の部屋の扉に比べれたらどうってことのない強度だから、驚くことでもないが、

さすがにここまで好奇心旺盛だと手に負えない。

トランクスの時、こんな風にだった記憶がない。

・・・・・・。

知らないんだ、な。

 

「ベジータ?どうかしたか?」

「・・・なんでもない」

「ふーん、そっか?それにしてもパンすげぇなー

こんなに小せぇ時から力あんだったら、将来が楽しみだ!」

「悟空さ!!またそったらこと言って。パンちゃんは女の子なんだべ!

力なんて適度にあれば十分だ!」

「そうか?じゃあさ、チチ」

「なんだべ」

「やっぱもう一人子供作ろうぜ!男だったら良いんだろ?オラ、一緒に修行してぇぞ」

「なっ?!なななななに言ってるだ悟空さ!!こったらところで!!」

「だってよぉ・・・ベジータんとこだって今から産まれてくんだろ?

なんだかんだ言って仲良いみてぇだし」

「だ、誰がそんなこと言ったぁ!!」

「別に聞いたわけじゃねぇよ。

けど、オラがベジータんとこ来っといつもブルマとイチャイチャしてるじゃねぇか」

「き、貴様!!それは貴様が突然現れるから悪いんだろう!!タイミングが悪いんだ!!」

「じゃあ、いつなら良いんだよ?」

「二度と来るな!!」

「もう、止めるだ悟空さ!!」

「そうよ!今はそんなことよりパンちゃん探してるんだから。

ベジータ一体どこに向かってるの?」

「・・・っち。ここだ」

「ここって・・・トランクスの部屋じゃない」

 

指し示した先はトランクスの部屋。

どうやらここの扉はうまく開けることができたのか壊されてはいないようだった。

扉を開けるなり、後方に居たはずのビーデルが駆け出して中に入って行く。

その後に続いて中に入れば、ビーデルがある一点をほっとした表情で見ていた。

 

「あら?トランクス帰ってきてたの?っていうか・・・一緒に寝てる・・・」

「ふふふ、気持良さそうだべ。二人とも」

「おわっ!ブルマ?!なんで泣いてんだ?」

「ごめ・・・なんでもない」

「ブルマさ・・・大丈夫け?どうしただ?」

 

またか・・・

確かに最近やたら泣く回数が増えた。

いや、泣く回数だけじゃなくてイライラする回数も、怒りだす回数も増えている。

妊娠中は情緒不安定だと言われても、対応に困る。

理由もあってないようなものばかり。

それに、だ。

いつものようにしてやるにはギャラリーが多すぎてやれるはずもない。

大体今回は何に対して泣きだすような理由があったと言うのだろうか。

 

労うようにチチに背中をさすられていたブルマ。

心配そうに見つめるビーデル。

 

「本当になんでもないの」

「しかたねぇだ。妊娠中はこんなもんだべ。な?ビーデルさ」

「はい」

「ブルマさ、キッチン借りていいだか?お茶入れるだ。

パンちゃんきっとしばらく起きねぇだよ。

トランクスもいることだしこのままここで寝かせておくべ」

「そうね」

「ビーデルさ」

「・・・はい」

「悟飯心配してただよ?」

「・・・・・・」

 

「おらは働いてくれねぇ上に家に帰ってこねぇ夫に悩まされたけど、

働き過ぎる夫って言うのも考え物だべ。

まったく、サイヤ人って言うのはその辺の女心がわかってねぇだよ!」

「そうよ・・・そうなのよね!!」

「え・・・?」

 

なんだか分からないが結束を固めたらしい妻たち。

これほど面倒なことはない。

あからさまに顔に出ているだろう嫌な顔は横に居るカカロットも同じだった。

今更だが、ひどく面倒なことに巻き込まれたような気がしていた。

第7話 いつもの顔ぶれ』に続く