238.『+α』
[ ベジブルにおける アレについて考えていましたところ、こんな話ができました。
学パラ高校生編以外では、初めて使用させました・・・笑。]
「あっ・・ いい、 すっごく・・ んっ・・ 」
「・・・。」
「あ、 イヤッ、 ダメ、 もう・・。」
「いいのか 悪いのか、いったい どっちなんだ?」
「バカッ、意地悪・・ 来て、 ねえ、
もう・・ 」
失敗した。
そういう言い方をすると この男は、願いをすぐには聞いてくれない。
「あ、 あ、 」
いつもは茂みの中、襞の奥深い場所に隠されているはずのもの。
それが今は広げられ、剥き出しにされている。
ベジータの、手袋を着けていない指によって。
それとは別の指先に、そこをひたすら
いたぶられる。
随分と濡れているせいで、ひどく滑りがいい。
ねばりを含んだ ぬるい液が、いくらでも
溢れ出てくるためだ。
そう。 この男を迎え入れ、 一つになる瞬間を
待ちわびている・・・
「あー ・・・っ 」
わたしは達してしまった。 いやらしく
うごめく、彼の指によって。
それを見届けたベジータは、ようやく気が済んだようだ。
仰向けにした わたしの、両膝を持ち上げて
入り込もうとする。
まさに その時。 「あ、 そうだ!」 あることを思い出した。
「ゴメン、 ちょっと待って!」 「・・なんだ。」
腕を伸ばして ライトの明度を上げ、あらかじめ用意してあった物を
手に取る。
「今日はね、これを着けてみてほしいの。」
「? なんだ、これは。」
「業務提携した会社のえらい人に、新製品を
たくさん もらっちゃったの。
次に会ったら、感想を伝えなきゃならない雰囲気なのよ。」
ベジータは 怪訝な顔をするばかりで、自分で着けようとしない。
もう、しょうがないわねえ・・。
彼に代わって さっさと小袋を破り、ほどよい大きさになっているものに被せた。
「うん、 ピッタリ。 ちょっと恥ずかしかったけど、Lサイズをリクエストして よかったわ。」
「だから 何なんだ、これは!」
「何って・・。」 コンドームだけど。
あら? もしかすると わたしたちって、これまで一度も使ったこと
なかった・・ かしら?
「ま、いいじゃない、 話は後でさ。 ね、来て。
早くう。」
いつもと、少しだけ手触りが違っているもの。
それを、いつもどおりに導いた。 わたしの中、
奥深い所に。
・・・
そうそう。 久しぶりだから、忘れてたわ。
これを着けたときは、いつまでも つながったままじゃ
いけないんだった。
ベジータを促して 体を起こし、指の腹を使って、注意深く
はずす。
先端に、白い液が溜まっている。
「わあー。」 見慣れたものではあるけど、こうして見ると・・・。
だって これ、言ってみれば 純粋なサイヤ人の種ってことだもんね。
そう考えると、何だかスゴイ、かも。
「何を考えてやがる! そんなものを採取して、いったい何を始める気だ!」
採取って・・。 「違うわよ。 あんた、知らなかったのね・・。」
「だから、何をだ。」 「あのね、これはね・・ 」
一通りの説明を聞いた後、ベジータは呆れたように言った。
「なんて原始的な道具だ。」
原始的ねえ・・。
「まあ、確かにシンプルな物よね。
でも その代わり、手軽なのよ。
他の方法だとどうしても、女の人の体に負担がかかっちゃうから。」
わたしも 一時、薬を飲んでいたことがあるけど、結局続かなかったわ。 面倒で。
「地球人の女は、そんなに孕みやすいのか。」
ベジータによれば、サイヤ人は子供ができる確率が低いらしい。
それゆえに、少数民族なのだというのだ。
「それは、人によるわね。 パートナーとの相性っていうのも大きいし。」
こういう話になると つい、口がすべってしまう。 悪い癖だ。
「わたしは もちろん、妊娠したのはトランクスの時が初めてよ。 結構、気をつけて
もらってたし。」
いけない、失言だった。 さりげなく? 話を逸らす。
「でもさ、サイヤ人は妊娠しにくいっていうけど、絶対ってわけじゃないでしょ?」
言葉を切って、続ける。
「サイヤ人の女の人って大変そうね。 男が、なんていうかアバウトで。」
これも ベジータによると、なのだけれど、
なんと 個々での避妊という概念は無かったというのだ。
彼は言う。
「別に、関係ないだろう。 サイヤ人は、女も頑健だ。 それに、子育てなんぞ
しないと言っていい。」
「そうだけど・・。」
中には、母性に目覚めてしまった人だっていたんじゃないのかしら。
深く考えると、切なくなってしまうけど。
「バースコントロールか。 昔 フリーザの野郎が試みたことが
あったようだな。
もちろん惑星ベジータで、サイヤ人を対象にして、ということだ。」
「コントロールって、まさか・・ 」
淡々と、ベジータは続ける。 「個体数を把握して、完全に管理しようとしたんだろう。」
「ひどいわ。 まるで家畜じゃないの。」
「奴らにとっては、そういうものだったんだろう。 だが失敗した。
特に下級戦士の奴らが、言うことを 全く聞かなかったらしい。」
言い終えると ベジータは、おかしそうに笑った。
思いがけず こんな話になってしまった。 けれど、めずらしいことだ。
この人は自分の子供の頃のこと、故郷の星のことを、ほとんど話してくれない。
長いこと、それが不満だった。 だけど、こう思うようになった。
自分でも、あまり覚えていないのではないか。
故郷について知っていることは、のちに同胞から聞かされた話を、
繋ぎ合せているのではないだろうか。
だって この人は王子だけれど、 王子様として成長したわけじゃない・・・。
もし、そのことを 口にしたら。 ベジータはどんな顔をするだろうか。
おそらく 口元を歪め、さぞかし辛辣な言葉を
ぶつけてくることだろう。
「どうした?」
「ううん・・。 ちょっと疲れちゃった。 たまには早く寝ましょ。 おやすみなさい・・。」
ライトを消した暗闇の中、 わたしは考えている。
もしも わたしと出会った頃、ベジータが王子様として暮らしていたとしたら。
それでも、彼に魅かれただろうか。
紆余曲折を経て やっぱり、こういう関係に
なってしまったのだろうか。
あ、 だけど・・ 王子様っていうより
王様かしら? 年齢的に。
だとしたら、お妃様が ちゃんといるってこと?
じゃあ わたしは愛人?・・とはいわないか。 妾? 側室ってやつかしら。
何だか やあね。 立場が あやふやな感じで。
トランクスがいてくれても、まだ ちょっと厳しいかも。
戦闘力の うんと高い子供を、何人か産まなきゃいけないのかしらね。
そんなことを考えたせいだろうか。
眠りに落ちた わたしは、こんな夢をみた。
C.C.に子供が、やたら たくさんいるのだ。
えーっ、 この子たち、みんな うちの子? わたしが産んだ子なの?
いったい、何人いるのよ。 トランクスを筆頭に、1、2、3 ・・・
全部で、7人! ドラゴンボールの数と、一緒じゃないの!
トランクスを産んだ後、毎年みたいに
できちゃったってわけね。
髪と瞳は わたしと同じ色の子もいれば、ベジータと同じで、どちらも真っ黒の子もいるわ。
そして なんと・・・ 全員、男の子じゃないの!
食費が、恐ろしいことになりそう。
重力室は しょっちゅう壊れて、調整どころか、増築しなきゃならないかも。
そんなこんなで ものすごく大変なはずなのに、何故だか
とっても、満ち足りた気分だ。
だって これだけ戦士がいれば、地球は安泰だと思う。
それに、ベジータも・・・
「ベジータ!」 「・・ 何だ。」
「えっ? あ・・。」
わたしは、目を覚ました。 起きなくてはいけない時間までには、まだ
ずいぶん あったけれど。
こんなことは めずらしい。 ベジータも、起きていた。
「随分と、やかましかったからな。 ムニャムニャと聞きとれない声で、しきりに何かを口走ってたぞ。」
「ふふっ。 そりゃあ、あんなに 子供がいればね。 口数だって増えるでしょうね。」
「何を言ってる?」 「ううん、 こっちの話。 それより、」
仰向けに横たわっている彼の上に、覆いかぶさる。
「どう? めずらしく早起きしちゃったんだから。 やっぱりね、昨夜
一回だけじゃ 物足りなかったわ。」
「ちっ、 下品な女め・・。」
そうだ、 この顔だ。
呆れているけれども 決して怒ってはいない、この人にとっては
おそらく、一番優しい顔。
夢の中のベジータは こんな顔をしていた。
子供たちに まとわりつかれて、うるさがりながらも。
しばしののち。 わたしの中に入ってくる時、彼は少しの間、動きを止めた。
「どうしたの? あ・・。」
昨夜と同じ試みはやめ、いつもどおりに迎え入れる。
「一度 試したから もう、いいわ。 わたしたちには必要ないかもね。」
だって やっぱり、あと もう一人くらいは欲しいし・・
丹念な、時には少し自分勝手な 愛撫の直後、
ひとつになれる瞬間が、何よりも好きだから。