185.『最強』

[ 096.悪いくせ』のつづきです。

はっきりとした性描写がありますのでご注意ください。]

ブルマは、声を出すのを我慢していた。

なんだか悔しかったからだ。

だがそういう時のベジータは、いつもよりも一層執拗になる。

バスルームの鍵を、ちゃんとかけておけばよかった。

それでも同じことだっただろうか。

 

湯をはっていないバスタブの中。

立ったまま、ひょいと片足をかけてベジータは、なおもブルマの脚を開かせる。

そして、今まで彼女の左胸を弄んでいたほうの手が下に移動し、

隠れている内側を さらに押し開こうとする。

 

「・・・ あっ ・・・ あ ・・・ 」

背丈のあまり変わらないベジータの熱い吐息が、ブルマの耳を刺激する。

その間も右手の中指は、休むことなくうごめいている。

 

「あ・・・  もう・・・ ダメ・・・  」   「やめたほうがいいか?」

「い・・や・・・。」

 

上気した頬。  うるんだ瞳。 

肩で息をしながら、切なげにブルマは懇願する。

しおらしい彼女の姿に、ベジータはおおいに満足する。

立たせたまま、壁に向ける。  後ろから腰をつかむ。

「え・・・  ここで?」  「汚れるのが、イヤなんだろう?」

 

ブルマの、甘くかすれる喘ぎが響き渡る中、ベジータは言った。

「済ませたら、 俺が洗ってやる・・・ 」

 

ブルマはバスタブの中に崩れ落ちた。

彼は言ったとおりに、体の汚れをシャワーで洗い流してやっている。

うつろな目。  唇だけが、かすかに動いた。

「お水・・・  ちょうだい。」

 

ベジータはカランの方から水を出し、自分の口に含んだ。

身をかがめて、顔に近づき、彼女の口に移して飲ませる。

「でかい声を出すからだ。」

 

そう言いながら、端にこぼれた水滴も、指でぬぐいとってやる。

ブルマは向き合う彼の、その背中に自分の腕をきつくまわす。

小さな声でささやく。

「すっごく、 よかった・・・ 」

「フン、 いつもそんなことを言ってるな・・・。」

口元がゆるんでしまうのを抑えるために、わざと素っ気なくベジータは答えた。

 

タオルでくるんだ彼女を抱きかかえてベッドに下ろす。

「ねぇ・・・ 」

なんだ、と尋ねられる前にブルマは、彼に向って両腕を伸ばす。

「少しの間だけでいいから、ベジータが上になって。」

怪訝な顔をしながらも、言うとおりにしてやる。

「こうされるのが、 好きなの・・・。  あんたの体の、 重みが好き・・・ 」

 

ブルマの体に巻かれていたタオルが、床に落ちる。

少しだけでは、済まなかった。

二人の夜は、まだ終わらない。

 

 

朝。

さすがに疲れが残ったベジータは、ベッドの中でしばらく目を閉じたままでいた。

珍しく早起きしたらしいブルマに声をかけられる。

「おはよ。」

同じく寝不足であるはずなのに、やけに肌が冴え冴えとしている。

 

「ああ。」

一言だけ返事を返して、もう一度目をつぶる。

ブルマはベッドに腰かけ、彼にささやく。

「昨夜のおかげで、早く終わっちゃったみたい・・・。

 今日からは、ちゃんと相手してあげられるわよ。」

ぎょっとして、思わず目を開けた。

 

「今日、早く行かなきゃならないの。 そのかわり、早めに帰れるはずだから。」

笑顔でそう言い残し、ブルマは部屋を出て行った。

 

ベジータは、起き上がる気力を失ってしまった。

彼がどうしても勝てない相手。   それはカカロットだけではないのである。