ブルマは、声を出すのを我慢していた。
なんだか悔しかったからだ。
だがそういう時のベジータは、いつもよりも一層執拗になる。
バスルームの鍵を、ちゃんとかけておけばよかった。
それでも同じことだっただろうか。
湯をはっていないバスタブの中。
立ったまま、ひょいと片足をかけてベジータは、なおもブルマの脚を開かせる。
そして、今まで彼女の左胸を弄んでいたほうの手が下に移動し、
隠れている内側を さらに押し開こうとする。
「・・・ あっ ・・・ あ ・・・ 」
背丈のあまり変わらないベジータの熱い吐息が、ブルマの耳を刺激する。
その間も右手の中指は、休むことなくうごめいている。
「あ・・・ もう・・・ ダメ・・・ 」 「やめたほうがいいか?」
「い・・や・・・。」
上気した頬。 うるんだ瞳。
肩で息をしながら、切なげにブルマは懇願する。
しおらしい彼女の姿に、ベジータはおおいに満足する。
立たせたまま、壁に向ける。 後ろから腰をつかむ。
「え・・・ ここで?」 「汚れるのが、イヤなんだろう?」
ブルマの、甘くかすれる喘ぎが響き渡る中、ベジータは言った。
「済ませたら、 俺が洗ってやる・・・ 」
ブルマはバスタブの中に崩れ落ちた。
彼は言ったとおりに、体の汚れをシャワーで洗い流してやっている。
うつろな目。 唇だけが、かすかに動いた。
「お水・・・ ちょうだい。」
ベジータはカランの方から水を出し、自分の口に含んだ。
身をかがめて、顔に近づき、彼女の口に移して飲ませる。
「でかい声を出すからだ。」
そう言いながら、端にこぼれた水滴も、指でぬぐいとってやる。
ブルマは向き合う彼の、その背中に自分の腕をきつくまわす。
小さな声でささやく。
「すっごく、 よかった・・・ 」
「フン、 いつもそんなことを言ってるな・・・。」
口元がゆるんでしまうのを抑えるために、わざと素っ気なくベジータは答えた。
タオルでくるんだ彼女を抱きかかえてベッドに下ろす。
「ねぇ・・・ 」
なんだ、と尋ねられる前にブルマは、彼に向って両腕を伸ばす。
「少しの間だけでいいから、ベジータが上になって。」
怪訝な顔をしながらも、言うとおりにしてやる。
「こうされるのが、 好きなの・・・。 あんたの体の、 重みが好き・・・ 」
ブルマの体に巻かれていたタオルが、床に落ちる。
少しだけでは、済まなかった。
二人の夜は、まだ終わらない。
朝。
さすがに疲れが残ったベジータは、ベッドの中でしばらく目を閉じたままでいた。
珍しく早起きしたらしいブルマに声をかけられる。
「おはよ。」
同じく寝不足であるはずなのに、やけに肌が冴え冴えとしている。
「ああ。」
一言だけ返事を返して、もう一度目をつぶる。
ブルマはベッドに腰かけ、彼にささやく。
「昨夜のおかげで、早く終わっちゃったみたい・・・。
今日からは、ちゃんと相手してあげられるわよ。」
ぎょっとして、思わず目を開けた。
「今日、早く行かなきゃならないの。 そのかわり、早めに帰れるはずだから。」
笑顔でそう言い残し、ブルマは部屋を出て行った。
ベジータは、起き上がる気力を失ってしまった。
彼がどうしても勝てない相手。 それはカカロットだけではないのである。