174.『恋』

[ 343.『男の手』の続きのようなお話。

馴れ初め別ver.です。性描写がありますのでご注意ください。 ]

戦闘服が、完成した。

こんな言い方はおかしいのかもしれないけれど、

それは やはり、彼にとてもよく似合っていると思う。

 

トレーニングしながら耐久性なんかをチェックする、って言ったけど

着心地については 文句はないみたい。

少しだけ、得意になる。  けれど、すぐにこんな思いが頭をかすめる。

人造人間の来襲を知る前からベジータは、わたしに戦闘服を作るよう命じていた。

この人には、戦いと日常の区別がないのだろうか。

戦場が故郷のようなものなんだろうか。

 

フリーザ軍でのそれと、似たものを作らせるベジータ。

わたしは複雑な思いを抱かずにいられなかった。

 

ふいにわたしは壁に押し付けられる。

戦闘服を身につけたままのベジータに。

「なに・・・ ?」   「この間、つづきがどうの、と言っていたな。」

そりゃあ言ったけど、 今、 ここで・・・?

 

「ちょっと、 ねぇ、 乱暴にしないでよ・・・ 逃げたりしないわよ。」

着ていたものは彼の手で、破り捨てるように剥がされた。

せめて最後の一枚だけは、自分から脱ぐ。

 

「あんたは、着たままでいるの?」

冷たい床に、仰向けにされながら尋ねる。

答えない男からの愛撫を、体じゅうに受ける。

 

もう一度聞いてみる。  

「ね・・・ 暑く ない、の・・?」  「少しは黙れ・・・ 」

 

キスしてくれたら、余計なことなんてしゃべらないのに。

この人は、恋人を抱いたことがないのかもしれない。

背中にまわしていた腕を動かすと、 ちょうど尻尾があったあたりに手が触れた・・・。

 

固い床の上に寝かされているのに、体があまり痛くない。

背中の下に、彼の両腕があることに気づく。

わたしはベジータに、抱きすくめられていたのだ。

それだけで、胸がいっぱいになる。

好き、 と言ってしまいたくなる。

そのかわりに初めて、唇を重ねてみる。

 

少しだけ頭を浮かせて、両手で彼の頬を包んで、

何度も何度もやわらかくなぞる。

「気持ち、いいでしょう?」

何も言わないベジータの、黒い瞳がわたしを捉える。

けれど次の瞬間、何も見えなくなってしまう。

強い力で押さえつけられ、

深く、  激しく、  同じことをされたから。

 

愛の言葉など決して告げない男に抱かれながら、

わたしはどうしようもなく幸せだった。