『いつまでも二人で』

ブルマさんは、ヤムチャ様の初めての恋人。

そして多分、初恋の人。

だから応援しなくちゃ。 絶対うまくいってほしいから・・・。

 

ドラゴンボールをめぐる大冒険のあと、

ボクはヤムチャ様と( うるさいウーロンと )ブルマさんの家である、C.C.に来た。

大都会の西の都にも驚いたけど、C.C.にはもっとびっくり。

大きくて立派なだけじゃなくて、便利で不思議なものがいっぱいなんだもの。

 

ブルマさんのお父さんとお母さんも、とっても優しい人。

ブルマさんはちょっとワガママだけど、面倒見がよくて優しい。

きっと、うんと可愛がられて、愛されて育ったからだ。

 

ヤムチャ様が ブルマさんといいムードになりそうな時、

ボクはちゃんと気をきかす。

それなのにいつも、図々しくてスケベな奴が邪魔をする。

だからボクは言ってやった。

 

「ウーロン! いいかげんにしなよ。 イヤらしい顔でジロジロ見ちゃだめ!!」

「なんだよー。 いい子ぶりやがって。 あっ、そうか。おまえは見たくないんだもんな。」

「なに? それ。」 

ボクは聞き返した。

「おまえ、ヤムチャの奴が好きなんだろ。 

 ボクとか言って、男のふりしてるけどおまえは・・・」

 

「うるさい、うるさい、うるさい!! 

 ヘンタイ、バカ、焼きブタになっちゃえ!! うわーーーーーん」

 

「そこまで言うことないだろぉ・・・」

 

ひっく、ひっく・・・。

 

そうだよ。ボクは男じゃない。  女の子だって、言ってない。

 

最初は、男じゃなきゃヤムチャ様と一緒に旅ができない、って思い込んでた。

今は・・・女の子でいても仕方ないって思うから。

女の子でも、 どうせ・・・。

 

だからボクは、ボクでいいんだ。 

今のまま、ヤムチャ様の相棒でいたいから。

 

「プーアル、どうしたの。ウーロンが謝ってたわよ。」

ブルマさんがやって来て、

泣いていたボクにハンカチを貸してくれる。

「ウーロンが、ヤムチャ様とブルマさんの邪魔ばっかりするから・・・。」

「やだ、わたしそんなの気にしないわよ。」

ブルマさんは笑って言った。

「でも、ヤムチャは奥手よね。 

 それともわたしのこと、そんなに好きじゃないのかな。」

「そんなことない!!」 

ボクはおもわずムキになる。

「ヤムチャ様は、自信がもてないんです。 

 ブルマさんが、きれいでかしこくて、お金持ちのお嬢様だから・・・。」

 

「プーアルは、ヤムチャが大好きなのね。 安心して。わたしも大好きだから。

 ね、お願い。ヤムチャに変身してくれる?」

 

言うとおりにしたボクの両肩に手をそえて、ブルマさんは左のほおにキスをした。

「練習よ。」 って、照れて笑った。

 

ブルマさんはやっぱり可愛い。

貸してもらったハンカチと同じ、お花みたいな香りがする。

 

二人が、ずっと仲良しだったらいいのにな。

ブルマさんがずっと、ヤムチャ様を好きでいてくれたらいいのにな。

 

「プーアルは、ほんとうに可愛いわね。 

 あの子がネコじゃなかったら、わたし絶対に叶わないわ・・・。」

 

そう呟いてブルマは、昼間の練習通りにヤムチャに最初のキスをした。

ただし、ほおではなくて唇に。