Body&Soul

TPGB祭に駆け込みで出させていただいたものです。

31歳×18歳くらいで、どっちかというとGT寄りの二人のつもりです。]

少女のように潔癖で、清らかでいてもらいたい。

だけど おれと二人きりの時には、ちゃんと 女であってほしい。

温かく柔らかな その胸に おれが顔を埋めた時には、そっと優しく 髪を撫でて、

その後 ぎゅっと抱きしめてほしいんだ。

そんな自分勝手な おれの願いを叶えてくれる、この世に二人といない女。

それが パンだ。

 

 

トランクスと こうしていると、力がまったく入らなくなる。

自分じゃない、別の、知らない女の人みたいな声が出てくる。

恥ずかしくて仕方がないのに、 そうしろと言われたわけでもないのに、

脚が勝手に大きく開いて、いつの間にか 腰が浮きあがっている。

この間は びっくりした。

シーツの、ちょうど腰の下になっていた辺りが、汗とは違うもので、ぐっしょりと濡れていた。

多分、今も そうなっている。

 

じわじわと あちこちが熱くなって、自分では もう、どうしようもなくなって。

うんと奥、体の深い場所に隠されていた、固く閉ざしてあったもの。

それが こじあけられ、一気に溢れ出す。 そんな感覚。

このところ、毎回 それがやってくる。 ううん、違う。

トランクスによって、もたらされるのだ。

 

「トランクス。」

瞼を開けて、名前を呼ぼうとした、その時。

口を塞がれた。 トランクスの、唇で。

むさぼるようなキスは、なかなか終わりそうにない。

だから わたしは仕方なく、彼の口へとささやきかける。

「トランクス・・・。」

 

唇が、ようやっと離れた。 笑みを浮かべるためだ。

笑いながら、トランクスはわたしの額に、自分のそれを押し当てる。

温かい。 小さかった頃を思い出させる、その仕草。

わたしは とっても、怖いくらいに幸せになる。

だけど同時に、ほんの少しだけ悲しくなる。

つい 考えてしまうからだ。

わたしと こうなる前、何人かいたのであろう、恋人だった女の人のことを。

 

そんなこと、考えたって意味が無い。

なのに わたしは、時々だけど口にしてしまう。

彼は そのたびに、言葉を尽くして わたしを諭す。

「昔のことは ともかくさ、これからは もう、パン一人だけだよ。

 この人、って決めたら、よそ見なんかしない。

 おれたちの周りにいた大人は、みんなそうだったろ?」

今日のトランクスは それに、もう一言を付け加えた。

「パンとおれ、同い年だったら よかったのにな。」 

「えっ?」

「ブラがよく ぼやいてたろ。 なんで こんなに年が離れてるんだ。年子だったら よかったのに、って。」

「うん。」

よく 知っている。 理由は もちろん、悟天おにいちゃんと同級生になりたかったからだ。

 

「パンとこうなってさ、おれも その気持ちがわかるようになったよ。

 楽しかっただろうな、同い年なら。 一緒にトレーニングしたりさ。」

「そうね・・。」

「家は ちょっと遠いけど・・ ハイスクールや大学は おんなじとこにしてさ。 そしたら、」

わたしを抱く腕に、さらに力が込められる。

「卒業したら すぐ結婚だよ。 悟飯さんたちみたいにね。

 そうだ。 つい この間、気付いたんだけど、」

一旦、言葉を切る。

「ブラの方が先に生まれてて、おれが弟だったとしたらさ、ちょうど そんなかんじだったんだよ。

 不思議だよな。」

 

トランクスの方が、弟・・。

「もし そうだったとしたら、トランクス、すっごく わがままに育ちそう。」

「だろうなー。」  

まるっきり否定せず、おかしそうに笑っている。

「そしたらさ、パンが叱ってよ。」

その後は、こんな言葉で締めくくった。

「この先 もし、願いを叶えてもらえるチャンスがあったら・・・ おれ、そのことを頼もうかな。」

 

そんな話をしたせいだろうか。

それから何日か経った夜、わたしは ある夢を見た。

夢の中で、わたしとトランクスは同い年、 同級生だった。

あいにく、あまり鮮明には覚えていない。

けれど なんとも切ない、もどかしい想いが胸に残った。

トランクスのことは、もちろん大好きなのだ。

なのに、うまく伝えられない。 彼の方も、はっきりとは言葉にしてくれない・・・。

 

トランクスが何歳でも好き。

だけど、少なくとも わたしには、この年齢差が合っているのかもしれない。

 

瞼を閉じて 再び眠ろうとした、ちょうど その時。

枕元に置いている携帯が、小さな光を放った。

それは もちろん、トランクスからのメールだ。 彼は西の都を離れ、出張に出ていた。

 

『今 終わって戻るところ。 週末はパンとゆっくり会いたいから、頑張ったよ。

 おやすみ。 明日は電話できるよ。』

 

『お疲れ様。 楽しみにしてるわ。  ところで、この間の話なんだけど わたしは、

同い年になるよりも 瞬間移動を使えるようになりたいわ。

そしたら、毎日 ちょっとだけでも 会えるでしょ?』

 

返事を打ち終え 送信するよりも早く、わたしは窓から外へ出た。

夜空へと浮かび上がる。 冷たい空気も気にならない。

何故ならば 遠くに、けれど 確かに、トランクスの気を感じたためだ。

 

13歳の差、経験の差は縮まらない。 瞬間移動も使えない。

だけど わたしたちは 気を探り、猛スピードで空を飛んで、お互いに会いに行くことができる。

残念ながら、トランクスの驚いた顔を見ることはできないだろう。

だって 彼もまた、そちらへ向かう わたしに気付いて、

空の上で、ジェットフライヤーのハッチを開いて、文字通り夜空へ飛び出してくるだろうから。

 

彼の姿は、まだ 見えない。 

でも、ぐんぐん近づいてきている。

わたしには それが わかる。 だから わたしは彼の名を呼ぶ。

空に向かって、大きな声で。

「トランクス。」