『夢のあと』 最終章

「へぇー、天津飯とこの赤んぼ、女だったんかー。」

 

カメハウスに遊びに来ている悟空が、

クリスマスの日に生まれたという赤ん坊の写真を見て言った。

 

「ああ。 早めのお産でずいぶん小さく生まれたらしいけど、

 すげー元気な子だったよ。 それに・・・。」

祝いに行ってきたクリリンが声をひそめた。

「写真じゃわかんないけど、前髪を上げると・・・あるんだよ。」

「何がだ?」

「三つ目・・・。」

 

あっはっは、と悟空が笑った。

「やっぱり、天津飯の血をひいてんだなぁ。」

 

きゃーーーーっと甲高い声がして、マーロンがはしゃぎながら走り回る。

悟空が、悟天と、一緒に遊んでいたトランクスまで連れてきているのだ。

 

「こら。 あんまり走るな。危ないぞ・・・。

 悟飯がいてくれたら、うまくおもりしてくれるのになぁ。 勉強、忙しいのか?」

クリリンが尋ねると、

「サタンの娘とどっか行ってんだよ。 近頃じゃ、修行に誘っても来やしねぇ。」

悟空がぼやいた。

 

「やるなぁ、悟飯の奴・・・。 

 おまえもうすぐ、じいちゃんになっちまうんじゃないのか?」

「そうか!孫に稽古つけてやるってのもありだな。」

悟空が目を輝かせ、クリリンは少しあきれた。

 

にぎやかに遊ぶ子供たちは、それぞれの両親によく似ている。

 

その様子を、少し離れた場所から見ていた亀仙人は呟いた。

「神龍に頼まんでも、命というものは次の世代に続いていくんじゃ。」

 

カメハウスから見える空は青く、波は穏やかだ。

 

金色の髪と三つ目を受け継いだ赤ん坊が、家族と暮らす町にも、もう春が来ていた。 

 

                              

                                [ 完 ]