133.『おかわり』

09 6月に開催されましたVB 69 Fes. 参加作品です。

文中に性描写がたくさんありますので、ご注意ください。]

一度目が終わって体を離そうとした、その時。  ベッドの上で、ブルマが俺に背を向けた。

いつもなら、下品なことを口にしながら 肩や背中に腕をまわしてきやがるはずだ。

「・・どうかしたのか。」 

言葉の途中でブルマの奴は、こんなことを言い出した。

 

「後ろからされるの、好きじゃないのよ。 いつも言ってるのに・・。」

 

そうだったか? とてもそうとは思えない。 

だいたい この女は最中に、いろんなことを口走る。 いちいち気にしていなかった。

 

向きを換えて仰向けになったブルマは 俺の腕をとり、自分の方に引き寄せようとする。 

「ねぇ、上になってよ。」

「今、済んだばかりだろうが。」

あきれながらも言うとおりにしてやると、うっとりとした表情で囁きかけてくる。

「別にね、 しなくたって構わないのよ。」  ・・嘘つけ。

「あんたの体の、重みを感じるのが好きなの・・。 」 よく言うぜ。 

少しでも体重をかけると、重い重いと大騒ぎしやがるくせに。

 

「それからね・・ これも好きよ。」 今度は横向きになって、抱き合う形にさせられる。

「これだと、あんたの顔もよく見えるもの。」 

頬や首筋に唇を這わせながら、勝手なことをしゃべり続ける。

「後ろからって なんとなく、一方的じゃない?  ・・・ん・・っ

  

「フン、顔なんか・・。 おまえは大抵、目をつぶってるぞ。」

ベジータの中指が、わたしの内腿の奥に侵入してくる。

そして、肩を抱いてくれていたはずのもう片方の手はいつの間にか、左の胸を弄んでいる。

 

顔を見てやりたくて瞼を開けようとする。 

すると彼は必ず、指の動きを速めてきたり、さらに奥まで入り込もうとする。

 

だから結局、目を開けていられない。 だけど わかってる。

向き合っている時のベジータは、わたしの顔をじっと観察しているのだ。

 

そのせいなんだろうか。 わたしは、ほとんど毎回みたいに・・・ 

これって、多分、すごいことよね。

 

水をかき回すような音が聞こえてくる。 水なんて、今 この部屋には無いはずなのに。

 

「済んだばかりだってのに、もう こんなだ。 イヤらしい女だな。」

「違う・・わ ・・。」 別の声が出そうになるのをこらえながら、わたしは必死に抗議する。

 

「したばっかりだから、感じやすくなってるのよ・・。」 そうよ。 さっきだって、さんざん・・。

「男とは違うのよ。」 

その一言にカチンときたらしいベジータが、指の動きを止めた隙に

わたしはすかさず彼の体の中心を掴んだ。

 

「何しやがる・・ 「何って、決まってるでしょ。」 

強めに握りしめて 加圧しながらも、上下に優しく、さするようにする。

 

「あんたこそ、もうこんなだわ。 したばっかりなのに、イヤらしい男よね。」

「・・あまり調子に乗るなよ。 後悔するぞ。」

そうかもね。 でも、いいの。 「すっごく、濡れてるわよ・・。」

 

言葉が終わらないうちに、うつぶせにされる。 乱暴に腰を掴まれて、持ち上げられる。

「あん、 もう・・ 後ろからは好きじゃない、って言ってるのに・・。」

「知ったことか・・。」

 

それでもベジータは 何度か激しく突き上げた後で、わたしを仰向けに向きなおさせた。

 

いつもはとても余裕がないけど、今回はなんとか目を開けていられた。

 

その時のベジータの顔。 怒っているみたいな、苛立っている時のような顔。  

だけど、それとは少し違う・・・。

 

ベジータの吐く息が、かかるのが好き。 

熱をもって汗ばむ背中に、腕をきつくまわすのが好き。

そして、終わって体を離してしまう前の、キスが大好き・・・。

 

「うふ。 やっぱりわたしは ああいうふうに、向き合ってするのが好きだわ。」

「そうか。」 そう納得したようにつぶやくと、ベジータは再び・・

ううん、何度目だったか数えてないけど また覆いかぶさってきた。

 

「えっ・・ 済んだじゃない。」 ・・まさか、 また?

「満足していないようだったからな。」

 

そう。 後ろからじゃない時のベジータは、わたしの表情が変わるさまを じっと観察している。

演技なんかは、この男には通用しない・・。

 

「今日は、もういいわよ。 十分 気持ちよかったわ。」

「遠慮しなくていい。」

ベジータの口元に不敵な笑みが浮かぶ。 さっきの仕返しのつもりなのだ。

 

ああ、わたしは今夜 多分、気を失うまで眠れないだろう。

 

明日の夜はこう言おう。 執拗な愛撫を体じゅうに受けながら、わたしは心に決めていた。

 

「やっぱり、後ろからされるのも好きよ。」