273.『遅く起きた日は』

09 6月に開催されましたVB 69 Fes. 参加作品です。

はっきりとした性描写があります。 ご注意ください。]

遅い朝。  使い慣れたベッドの中で、目を覚ます。

夫の、ベジータの顔が目の前にある。

少し前に目を覚ましたらしい彼に言った。 「おはよ。」

「ああ。」  短い返事をした口に、わたしも短いキスを返す。 

表情を変えない彼の腕が伸びてきて、わたしの髪に指が触れる。

 

このまま、また抱かれてもいい。

今日はお休み。 

両親は旅行中で、トランクスも昨日、泊まりがけの学校行事に出発した。

 

「ねぇ・・

耳元にささやきかけようとした、その時。 ベジータが起き上った。

「なによ。 起きちゃうの?」  シャワーを使おうとしているようだ。 

まぁ、昨夜 ずいぶん汗をかいたものね。

「ねぇ、だったら 階下のお風呂に入ったら?」  ベジータが足を止めた。 

「この間、改装したばかりなのよ。」

 

そう。 C.C.社がシステムバスのメーカーと共同開発した設備を入れたことで、

バスタイムをより快適に過ごせるようになったのだ。

 

 

「わぁー。 ホントにあっと言う間にお湯が溜まるわ。」

 

一緒にお風呂に入った時は、いつもわたしが髪を洗ってあげている。 

そして、その後は いつも ・・・

 

けれども今日のベジータは、おとなしくバスタブのお湯につかっているだけだ。  

まぁ、昨夜 存分に抱き合ったんだけどね。

 

「・・腹が減ったな。」 

ぽつりとベジータがつぶやいて、わたしは思わず笑ってしまう。

子供の頃の孫くん程じゃないけれど、

わたしと一緒の時の彼は、結構よく その言葉を口にするのだ。

「今日は母さんがいないから、わたしが食事の用意をするわね。」 

文句は口にしないものの、何とも言えない顔になる。

 

「冗談よ。 C.C.社製の自動調理機で、そこそこ美味しいものが食べられるわよ。」

腹をたてたふりをしたわたしは、彼に立ち上がるよう促して、バスタブの縁に腰かけさせた。 

「・・なんだ。」

ベジータの、脚の間にひざまづいて、わたしは言った。 

「わたしも、おなかすいたの。」

 

身を屈める。 

目の前にあるそれを、そっと手で包むようにし、口に含む。 

歯を立てないよう気をつけながら、舌で転がす。

 

そうするうちに、それはどんどん大きくなって、口の中には もう、納まりきらない。

わたしは一旦あきらめて、先端だけに同じことをする。

根元を片手でしごきながら、もう片方の手で 近くにある別の部分を弄ぶ。

 

「手を使うな。」 来た。

 

いつの頃からか ベジータはその時、そう言うようになった。

わたしはおとなしく手を離す。 口は そのままの状態で。

 

彼は両手で、わたしの頭を押さえこむ。 

そして、自分の快感に合わせて、腰を動かし始める。

はっきり言って、苦しい。 

喉がつかえてしまいそうになるのを、舌と唇で必死に押さえる。

 

サディスティックなかんじがして あんまり好きじゃなかったけれど、

これをしてる時のベジータは何ていうか・・・

とっても色っぽい声を出していることに、ある時 気づいた。

 

わたしを抱いている時も、そんな声が出ているのかもしれない。 

だけど、その時はわたしの方も余裕がないから・・・。

 

ベジータの、腰の動きが速くなる。 

指先が、わたしの髪を 何度も何度も掻き上げる。

溜息の混じった声が聞こえて 間もなく、私の口の中は彼の体液で満たされた。 

 

苦くてぬるいそれを、ゆっくりと飲み下す。  

先端に残っていた液も、舌できれいに舐め取る。

「美味しくはなかったけど・・ ごちそうさま。」 

 

さ、あがって朝食に・・・  言葉の途中で、わたしは壁に押し付けられた。 

同じように、バスタブの縁に座らされる。  「何するのよ・・。」 

わたしの顔を見上げ、両膝を掴んでベジータは言った。 

「俺も、腹が減ってるんだ。」

 

 

昨夜、彼の指によって散々苛まれたその部分は、今日は舌と唇で責められた。

 

途中から もう、何を口走ったか覚えていない。 

わたしは肩で息をして、ほとんど涙ぐんでいた。 なのに、ベジータは また・・。

壁に向かって、立たされる。  「もうイヤ・・。 のぼせちゃうわ。」 

抗議するわたしの腰を後ろから掴んで、彼は言う。

「すぐに済む。」  そしてこう付け加えた。 

「何度も催促していたのは、おまえの方だろうが。」

 

・・そういえば。  言ったかもしれない。 

『もう、 ダメ ・・・ して。 お願い、 入れて ・・・。』

 

ああ、もう、気が遠くなってきた。 

終わった後、わたしはしばらく起き上がれないだろう。

 

なんだか今日は、ずーっと裸で過ごす気がする。 

朝食にありつけるのは いつなんだろう。

 

喘ぎ声に紛れて、わたしは叫んだ。  「もう、 イヤ・・・。」