346.『レッスン』

ベジータ=童貞設定です。

ささげものにupしております『最初の夜』の続きのようなお話です。

一応、ブログの方の2万ヒット御礼のつもりで書きました。]

「やり方を教えろ。 一度で覚える。」 真剣な顔で、彼はわたしに そう言った。 

「やり方って言っても・・。」  別に、人それぞれだと思うんだけど。

 

まぁ この男の場合、力の加減をするってことが第一よね。

「あのね、 とにかく 優しく、っていうのを念頭に置いて、 」

一旦 言葉を切って、短いキスをする。 覆いかぶさっているベジータの、頬を両手で包みこんで。

「いろんなバリエーションがあるんだけど、とりあえず ここ・・ 」 

手をとって、胸の上に置く。

「さっきみたいに、いきなり鷲掴みはダメよ。 痛くないように、あくまでもソフトにね。 あ・・・ 」 

うん、 いい感じ・・。 聞えよがしに舌打ちをしながらも、言うとおりにしてくれる。

 

しばらくのちに わたしは言った。 「それと・・ 」 

再び とった彼の手を、脚の間に持っていく。 「ここにさわって。 んっ、 ああっ ・・・ 

ベジータの指は的確に、わたしの敏感な場所を捉える。 「はぁ・・ 気持ち、いい ・・。」

「さっきと同じだろうが。」 手順が、ってことね。 

「ん・・ だから、女の子にしてあげるのは これが基本なの、 ん ・・っ  」

 

瞼を開けて、ベジータの顔を見つめる。 

何ともいい難い、複雑な表情。 それでも、彼の指先による愛撫はやむことがない。

たまりかねた わたしは、もう一度 彼にキスをした。

今度は長く、もっと もっと深く。

その間にも、指の動きは止まることがなく、頬も体も、どちらも熱い。

唇が離れた後で、わたしは言った。 

「ね・・ もう、来て。」

 

そそり立った彼の一部。 両方の手のひらで、注意深く包み込んでみる。

そして 彼は、 わたしの中に入ってきた。

 

 

あれから十日程が経った。 今夜も俺は、この女の部屋にいる。

 

「うふ。 あんたの触り方って、何か いやらしいわね。」 

畜生。 俺ともあろう者が、こんな女に惑わされるとは・・。

「ちょっとぐらいなら、力を入れても平気よ。 あ、 あ ・・・んっ 」 

あの夜の一度きりで もう、気は済んだんだ。なのに、なんで・・・。

「すっごく いい・・。 ねぇ、 もう・・ 」 

何より腹立たしいのは、女の言いなりになっている俺自身だ。

そのことを口にした時、 この女は涼しい顔で、こう言いやがった。 

『やり方を教えてあげてるのよ。』  くそっ。

 

熱く潤った女の中に、屹立したものを埋め込む。 嬌声がため息に変わる。 

「は・・ あ・・ 気持ち、いい ・・ 」

愛撫してやっている時とは また違った、満足げな表情。

自分の欲望を満たすことが、結果的に この女を悦ばせているという事実。 

そのことにも苛立ってくる。

 

「・・そんなに いいか?」 「うん・・。」 

「なら、これはどうだ?」 茂みの中の、前の方に隠れている ひどく敏感な個所。 

「え・・? あ・・・っ! 」 さっき さんざん触れたその部分を、つながったまま指で苛む。

「あっ、 あ ・・・ イヤッ、 そんなことしちゃ、すぐに ・・・」 

一転して、切羽詰まった様子で悶え始める。

「だめえ、 もう、 いっちゃう・・ あ、 あ、 ・・ 」 

眉を寄せ、俺の背中に 伸ばした爪を食いこませると、甲高い声をあげて女は果てた。

 

その後は ぐったりと、まるで死んだように目を閉じていた。

 

「おい。」 俺の方も 用は済んだ。 放っておいても構わないが、一応 声をかけてみる。

ゆっくりと瞼を開くと、女は再び 俺にしがみついてきた。 

「すっごく、よかった ・・。」 

そして、こんなことを言いやがった。

「あんなふうにされたら もう、あんたとじゃなきゃ満足できなくなっちゃうかも。」 

「フン・・。」

悪い気はしなかったが、 その言い方に どこか、引っかかるものを感じた。

だから言ってやった。 

「また どこかの野郎に教えてやればいいだろう。 おまえの好みのやり方をな。」

 

 

ベジータの一言で、わたしは やっぱり傷ついた。

泣いたり 怒ったりする筋合いはない。 

だけど 顔を見られたくなくて、わたしは彼に背を向けた。

ベジータは、わたしと一緒に眠らない。 わたしたちは別に、恋人同士ってわけじゃないのだ。

 

どのくらい 時間が経ったのだろう。 

ベジータは何故かまだ、同じベッドの上に横たわったままだ。

そのままの姿勢で尋ねてみる。 「戻らないの?」

しばしの沈黙の後、ベジータが口を開いた。 「勝手に決めるな。」 

 

「えっ?」 

向き直した途端、彼はわたしに覆いかぶさり、胸の谷間に顔を埋めた。

「指図するな。 おれは自分のしたいようにする。」

両腕で、彼の頭を抱きしめる。 逆立った黒い髪の、匂いを吸い込む。 

「ねえ。」

「何だ。」 「あんた、ちゃんとシャンプー使ってる?」 「・・・。」 

「一度 手のひらにとって泡立てなきゃダメなのよ。」

 

そうよ。 昼は特訓、 夜は・・・で、たくさん汗を かくんだから。 

「バスルームに行きましょ。 きれいに洗う方法を教えてあげる。」 

「構うな。 今、指図するなと言ったばかりだろうが。」 

「ちゃんと覚えたら もっと、 」 いいこと 教えてあげる・・・。

 

付け加えた言葉を聞いたベジータは、大きく舌打ちをした。

 

その後、彼の腕の中でわたしは、小さく 「好き。」 とささやいてみた。

彼はもちろん何も言わない。 

朝を一緒に迎えることもしないけど、 夜はわたしの部屋に来た。

それからも、 何度も。