196.『恋という名の病』
[ miracle danceの緋色さんのイラスト&SSを見て、自分ver. を考えてしまいました。
許可をいただいたので、緋色さんのイラストとともにup致します。
「あんた、なんだか熱いわよ。
熱があるんじゃないの?」
この女は、何かと理由をつけては
俺の体に触れようとする。
下品なうえに、馴れ馴れしい。
「トレーニングで体を動かしたせいで、体温が上がっているだけだ。」
「そうかしら。
・・・ちょっと失礼。」
女は顔を近づけてきて、自分の額を
俺のそれとぴったり合わせた。
「貴様、 何をしている。」
「ん? 熱をはかってるのよ。」
「だから、熱などないと言ってるだろう。」
だいたい、こんなやり方で体温がはかれるものか。
まったく、どうしようもない遅れた星だ。
この男は、なんだかいつもイライラしている。
それでも、わたしをすぐには払いのけない。
今 わたしは、彼の特徴あるおでこに触れている。
だって背丈が変わらないから、とってもやりやすいんだもの。
だけど それを口に出したら、きっとすごく怒るんでしょうね。
そして今、すぐ目の前には
彼の形の良い唇がある。
自分のそれと合わせることは簡単だ。
でも なんだか、それだけじゃ足りないと思った・・・。
ようやく離れたと思ったら、女はいきなりその場に崩れ落ちた。
「おい、どうしたんだ。」
「熱が出てきたみたい。
あんたのがうつったのかも。」
「だから、 俺は熱なんかない。」
床にへたり込んだ女は、両手をこちらに差しのべてきた。
「なんだ。」
「今日は早めに寝て、体を休めることにするわ。だから、部屋まで連れてって。」
「冗談じゃない。 どうして俺が・・・
」
「こじらせて入院なんてことになったら、重力室の調整は誰がするの?」
舌打ちをして、男はわたしを抱きかかえた。
もしかして荷物みたいに担ぎ上げるかと思ったけれど、そんなことは
しなかった。
やっぱり この人は王子様なんだわ。
不機嫌な顔をした彼の腕の中で、わたしは思っていた。
「ついたぞ。 さっさと寝ろ。」
ベッドに投げ出されたわたしは、立ち去ろうとした男の手をとった。
「あんたも来て。」
「なに?」
「お願い。 熱を冷ましてほしいの・・・。
」
そんな言葉でわたしは、王子様を自分のベッドに招き入れたのだった。
事の後。
女は俺に覆いかぶさり、さっきと同じように額を合わせた。
「これはね、親しい人同士の熱のはかり方なのよ。 家族とか、恋人とか・・。」
「フン、 どっちでもないだろうが。」
「・・うん、 そうよね。」
ぽつりとつぶやいた後、女は唇を重ねてきた。
俺の腕の中で、女の体は確かに熱かった。
そして今、重ねられた唇は温かい。
とても心地よく、離れがたいと思ってしまうほどに。
馴れ初め話ですが、ベジータがケガをしているのを忘れていました・・・]