海に囲まれたカメハウスで、クリリンと(その師匠だったという じーさんと)

暮らし始めて、しばらくたったある日。

 

クリリンは長電話をしていて、あたしは庭で洗濯物を干していた。

そんなことしなくてもいいってクリリンは言うけど、

何もしていないと退屈でしょうがないから。

 

済ませて家の中に入ると、

やっと電話を終えたクリリンが、うれしそうに話しかけてきた。

「今、ブルマさんから電話もらってさ。

 C.C.にみんな集まるから、18号も一緒にどうぞ、って。」

 

C.C.・・・。」

前に、クリリンからいろいろ聞いていた。

「うん。西の都は都会だから、買い物なんかもできるよ。

 毎日、家事ばっかでつまんなかったろ。」

都には行きたかったけど、イヤーな顔を思い出して

「あたしは行かないよ。」 って、言ってしまった。

 

「ベジータってやつ、大っ嫌い。 ブルマって人、なんであんなやつと一緒にいるの?!」

「そりゃあ、おれも好きではないけど・・・。」

あたしの剣幕にびっくりした様子で、クリリンは尋ねる。

「なんで、そんなに嫌うんだ?」

「あいつ、あたしのことガラクタ人形って。 女じゃないって、 言ったんだ・・・。」

 

あの時のあいつの言葉。

思い出すと、本当にいやな気持になってくる。

まぁ、言い返すかわりに存分に痛めつけてやったけどさ。

 

「そんなこと言ったのか、ベジータのやつ。

 ・・あいつは誰に対しても、ろくなこと言わないんだよ。」

 

一呼吸おいてから、あたしをソファに座らせて、自分も隣に腰かけた。

ブルマさんにだけは違うのかなぁ、 って首をかしげてた。

それから言った。 あたしの頭をなでながら。

「18号は、ちゃんとした女の人だよ。すっごくきれいな・・・。

 おれなんかが一緒にいていいのかな、って、 いつも思っちゃうよ。」

クリリンの手は心地よくて、ざわざわしていた胸の中がすーっと、落ち着いてきた。

「なに言ってんの、 バカ・・・。」

 

別のこともしてほしくって、

じっと顔を見てたのに、クリリンは気づいてくれなかった。

自分からは、ちょっとできなかった。

 

そのかわり、あたしもクリリンの頭をそっとなでてみた。

なんだかだんだんはずかしくなって、「髪、伸ばしてみたら。」なんて言った・・・。

 

「あの二人も、もーちょっとじゃのう。」

 

気を消して、こっそりと様子を窺っていた亀仙人が、隣の部屋でひとりごちていた。

 

 

『ここでキスして。』