sweet season

[ 天ブラの初めて物語の補足?です。 

ちょっと、以前書いたお話と繋がらないところがあるかもしれません。]

休日、  悟天の部屋。

こんなふうに過ごすのは久しぶりだった。

 

平日は出張続きだったし、この前のお休みは実家に帰ってしまっていた。

食べ物をいろいろもらってきていたから、お昼ごはんはそれで済ませた。

いつもはわたしが作ってるから、今日は本当にゆっくりできる。

 

「先週は、つまらなかったわ。」

そう言ってわたしは、悟天の膝の上に腰をおろした。

会えなかった分、今日は うんと甘えるつもり。

 

「だから、ブラも一緒に行こうって言ったのに。」 

わたしの髪に指を通しながら悟天は言った。

「行きたかったけど・・。 みんな びっくりするでしょ? 

わたしのこと、なんて言うの?」

「・・恋人だって、言うよ。」  「まだホントの恋人じゃないのに?」

 

いつも言ってるその言葉に、悟天はわざと答えない。

「もう話しちゃおうかって、この辺まで出かかったんだけどさ。」

自分の喉を指さして言う。

 

「そういえば パンちゃんは家族に、わたしたちのこと話してないのね。」

少し前のことだけど、この部屋で悟天の帰りを待っている時

届けものを持ったパンちゃんが来た。

 

そうみたいだな、とつぶやいた後で、悟天は言った。

「パンは、なんだか 雰囲気変わってたなぁ。」

「わたしも、前にここで会って話した時に思ったわ。

すごく大人っぽくなったわよね。」

だけどあの日、パンちゃんもわたしに同じことを言ってくれたんだっけ・・。

 

「恋してるんじゃない? それも、相手は年上だったりして。」 わたしみたいに、ね。

 

「うわー。」 悟天は、心の底から同情している様子だ。

「兄さんはさぞかしショックを受けるだろうなぁ。」

「でも、悟飯さんたちだって・・ 」

パンちゃんの両親は 高校生の頃からの付き合いで、

大学の卒業を待たずに結婚したはずだ。

 

少しだけ笑って、悟天は言った。 「男親って、そういうものみたいだよ。」

 

わたしは尋ねてみた。 「ねぇ、悟天はわたしのパパが怖い?」

もちろん、と頷く。

「ベジータさんのことが怖くないのは、うちのお父さんと、ブルマさんと・・ 」

あとはブラくらいのもんだろ。

そう言って、膝の上のわたしを両腕で抱えて ベッドに寝かせた。

自分も隣に横になる。

 

時々キスしながら、こんなふうにおしゃべりしたことは何度もあった。

けれども、それ以上のことは まだなかった。

 

「けど、おれが本当に怖いのは・・ 」 そこで一旦言葉を切る。

「え?」  わたしは、悟天の顔を見る。

「ブラが離れて行っちゃうことだな。 もう、気が済んだー ってさ。」

「そんな・・。」

 

悟天がどうしてそんなことを言うのか、わたしは知っている。

以前 彼の恋人だった人は、他に好きな人ができて 悟天のことを裏切ったのだ。

それなのに、その後 何度もこの部屋に来た。

 

そんなの許せない。  わたしは そんなことしない。

絶対に、絶対にしない・・。

 

多分わたしは、泣きそうな顔をしていた。

そんな時、悟天はいつもわたしを笑わせようとする。

「ブラが帰った後のこの部屋はさ、ブラの匂いが残ってるんだよ。」

「・・そうなの?」

 鼻をひくつかせてみたけれど、よくわからない。

「ベッドにもね。 夜は夢に出てくるし、困っちゃうよ・・ 」

「夢って どんな?」

引き寄せられて耳打ちされる。  わたしは頬が熱くなった。

「・・エッチ。」 「仕方ないだろ。 男だもん。」

 

仰向けに横たわる悟天の、黒い瞳をじっと見つめてわたしは言った。

「だけど、ただの男じゃないわ。戦いをしていなくても、ね。」

そうよ。わたしはそのことを、ちゃんと 知ってるの・・。

 

頬を両手で包みこんで、唇を重ねる。 

離れないそれは、だんだんと熱を帯びてくる。

体勢はいつの間にか入れ替わっていた。 

そして その日、悟天はわたしを離さなかった。

 

 

この話をした時、パンちゃんは うっとりした表情で溜息をついて、

「素敵ね・・」って何度も言ってくれたの。

なのに、お兄ちゃんとのことは ほとんど教えてくれないのよ。 

はぐらかし方が、なんだかママによく似てるの。

 

それと・・ 

一度口を滑らせた時、お兄ちゃんにものすごくバカにされたんだけど・・

 

わたしと悟天の一人目の子は、その、最初の時にできちゃったのよ。

 

わたしは まだ19だったの。 正直言ってショックだったし、不安もあったわ。

だけど悟天のうれしそうな顔を見たら、そんな気持ちはどこかへ飛んで行っちゃった。

すぐに切り替えられたのよ。 

お母さんになっても、恋人みたいな奥さんになればいい って。

 

そんなの無理って言う人もいるでしょうね。 でも、わたしにはできるの。

 

だって、わたしはママの娘だから。