266.『第三の男』

[ なんと これは、管理人が初めて書いたSSなのです。

絵師さまのイラストからイメージしました。]

わたしには、『あいつ』 って呼べる男が3人いるの。

 

1人は、弟みたいなものね。

『あいつ』は、はじめて会った時からサルみたいに身軽で 

(実際シッポがあったのよ!!)

結構強かったんだけど、とにかく なーーんにも知らなくて、ホントにあきれちゃったわ。

 

ビックリすることばっかりだったけど、

無欲で心のきれいな『あいつ』との冒険の旅は、ほんとに、ほんとに楽しかった。

怖いことにあった後だって、

最後には『あいつ』と一緒にゲラゲラ笑っちゃった。

 

弟みたいな『あいつ』の家族もわたしにとって、にぎやかな親戚みたいなものよ。

 

 

 

2人目は、冒険の途中で出会った、わたしの初めての恋人よ。

 

ハンサムで背が高くて、そりゃあカッコよかったのよ。

そして、ものすごくはずかしがりやだったわ。

 

わたしは、男の子があんなに力が強くって優しいってことを

『あいつ』に教わったの・・・。

 

一緒にいたくて、離れたくなくて、都に連れて帰ったわ。

お洒落することを覚えた『あいつ』と、いろんなところに遊びに行ったっけ。

 

それから、少しずつ『あいつ』は変わっていったわ。

少しずつ、少しずつ離れていったの。

 

もうダメだって気付いた後も、思い出が多すぎて さよならをなかなか言い出せなかった。

わたしはあの頃、ほんとによく泣いた。

 

だけど今では 大事な、大事な友達よ。

 

そして、もう1人の『あいつ』

 

わたしがどんなに泣いても、

真っ赤になって怒ってもお構いなしだったわ。

 

どれだけえらいのか知らないけど、

地球のことを平和ボケだの、遅れてるだの、散々バカにしてさ!!

 

だけど、わたしが作った戦闘服を愛用して 

(そりゃあ、うーんと苦労した特別製だもの!)

そして、それから・・・・。

(そりゃあ、 ね。  わたしは特別なんだから・・・。)

かけがえのない宝物を2人も授けてくれた。

 

戦うことしか頭にない『あいつ』にあきれて、怒って、たくさんたくさん泣いたけど

『あいつ』は今でもわたしと一緒にいるわね。

 

あんまり優しくしてくれないし、一緒に出かけるのもいやがるけど。

 

「でも、ママ 毎日楽しそうに笑ってる。 パパだって。」

 

そうよね。  わたしの、とってもとっても大切な人よ。