117.『IF・・・』
[ もしも、トランクスとブラが年子だったら?というパラレルです。
舞台は、ブウ戦後の天界です。]
神様の神殿に、おれと悟天とママたち、みんなが集まっていた。
やがて ものすごく強くて、
よーく知ってる気が いくつか近付いて来た、と思ったら
悟天のおとうさんの姿が見えて・・・
後から、少しだけ疲れた様子のパパが歩いて来た。
「パパーー!!」
おれが駆け寄ろうとしたら、それよりも早くブラが飛びついた。
なんとなく気まずそうだったパパは、
笑顔で甘えるブラに 熱はさがったのか、なんて聞いている。
そう。 あの朝、少し熱があったブラは、
天下一武道会には行けなくて おばあちゃんたちと家にいた。
いろんな・・・たいへんだったことは見ていない。
いつだってそうだ。
おれは、遊びたい時だってパパとトレーニングを欠かさないのに、
ブラはほんのちょっと、身を守る程度のことを教わっただけ。
なのに、パパに遠慮なしにまとわりついて
いつも忙しいママにもあれこれ喋りかけるんだ。
それを大人たちときたら いつだって、
中身もブルマにそっくりだ。 の一言で片付けちゃう。
そういえば悟天はどうしたんだろ、と見回すと
おとうさんに抱っこされて甘えてた。
ちぇっ。 どいつもこいつも甘えんぼだ。
その時ブラが、パパになにか耳打ちした。
そしたらパパがブラを下におろして、おれに向かって手を差し伸べた。
びっくりして どうしていいかわからないおれに、ママは優しく
行きなさい。って言ってくれた。
おれが覚えてるなかで、二度目の抱っこ。
いつもの、黒い髪のパパとは最初の抱っこ。
ほんとは ちゃんとわかってるんだ。
パパがおれに厳しいのは強くなってほしいから。
どんな奴がやって来たって、ママとブラを守れるように。
ブラは、 ママも抱っこしてもらえば?なんて言っている。
ママは涙をふきながら、 今はいいわ。あとでね。 って答えた。
パパの顔が赤くなったのを、この目で確かにおれは見た!
帰りはみんなで飛んで帰った。
飛べないママは、パパに抱っこされていた。
あとで、ってこのことか。 うなずくおれに、ちがうよ、きっと。 ってブラが笑った。
なんだよ。 ブラは知ってんのかよ。 知らないけど、きっとちがうよ。
ちぇっ。 ほんとに、ほんとに憎たらしいやつ。
強くもないのに生意気で。
なんでも知ってるみたいな顔をして。
だけど、かわいい たった一人のおれの・・・。
「なんだか、わたしたちに似てるみたいね。」
同じことを考えていたべジータは、
笑顔の妻を決して落としたりしないよう、抱きかかえる腕に力を込めた。