063.『2人の秘密』

[ はっきりとした性描写がありますので、ご注意ください。]

窓が開く音がした。   眠りに就いていたブルマが目を覚ます。

「・・なんで、こっちに寝てやがるんだ。」

外でのトレーニングから戻ってきたベジータがつぶやく。

ブーツを脱ぎすて、プロテクターと手袋を次々はずして

自分の部屋のベッドの中のブルマに覆いかぶさった。

 

「だって・・・。  あんた、もしかしてわたしの部屋に行ってたの?」

答えないベジータは、まるで当然のように彼女を抱こうとする。

「ね、 それも脱ぎなさいよ。」

作った張本人であるブルマは、しなやかな指先で器用に戦闘服を脱がそうとする。

舌打ちしながらも応じた彼に、彼女の白い素肌はしっとりと吸いついてくるようだ。

「このほうが、ずっと気持ちいいでしょ・・・?」

 

ベジータはこんなふうに、肌を合わせるかたちで女を抱いたことがなかった。

征服した星の女。   皆殺しにするうちの一人。

恐怖でこわばって血の気が無く、既に死体のようだった。

彼はその行為がいいものだとは、あまり思っていなかった。

地球に来て、ブルマを抱くようになるまでは。

 

「ねぇ・・・ 髪がほこりっぽいわよ。 シャワー浴びたら?」

ベッドから起き上ったベジータに、嬉々としてブルマが付き添った。

「わたしが、洗ってあげる。」

 

「気持ち、いいでしょう?」

髪に指を丁寧に通しながら、この女はまたその言葉を口にする。

さっきから何度目なのかわからない。

殺戮者である自分を恐れず、無防備に身をまかせてくる女。

それをはらいのけることができない自分。

その時の彼にはまだわかっていなかった。

何故そうなってしまうのか・・・。

 

苛立ちを覚えたベジータは、ブルマを浴室の壁に押し付けて体をまさぐる。

乱暴なやり方に、彼女は身をよじって抗議する。

「ちょっと・・・  痛・・い 」

ベジータは彼女の内腿の奥に、深く指を差し入れる。

「そうとは思えないな・・・ 」  その理由を耳元でささやく。

顔をそむけたブルマに向かって、さらに言う。

「おまえは、こういうことが好きなんだろう?」   「・・・ 違うわ ・・・ 」

否定の言葉は彼によって、あえぎ声に変えられた。

 

短く浅い彼女の吐息と、彼の溜息がまじりあった数秒のち。

ベジータは、ブルマの腰を押さえこんでいた両手を離して

彼女を解放してやろうとした。

しかしブルマは、彼の肩にきつくまわした自分の腕を解こうとしない。

 

「おい・・・ 」

揺り動かそうとした彼に、彼女は小さな声でこう告げた。

「好き・・・。   あんたのことが、好きなの・・・  」

 

その時のベジータの顔を、ブルマは見ていない。

顔を上げてすぐに、まぶたを閉じることになったためだ。

彼のほうからの2度目のキス。

せつなくて、  狂おしい  ・・・

 

夜が明ける頃。

ベジータは、ぐったりと、まるで気絶したように眠りに落ちたブルマをベッドに残し、

またどこかに行ってしまった。

 

次に彼がブルマの前に姿を見せた時は、季節はすでに移り変わっていた。

そして、彼女の中には小さな新しい生命が宿っていた。